著者
森沢 孝行 蔵本 博行 上坊 敏子 加藤 良樹 脇田 邦夫
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.520-526, 1982 (Released:2011-01-25)
参考文献数
25

子宮内膜の新しい擦過細胞診 (Endocyte) を吸引チューブ法と併用して247例に行い, その有用性を検討した. (1) Endocyte (以下End.) は190例 (76.9%) に挿入容易, マルチン使用で可能は44例 (17.8%) だったが, 13例 (5.3%) は挿入不能であった. (2) 使用時に軽い疼痛を68例 (29.1%) が訴え, 23例 (9.8%) に軽度の出血が認められた. (3) 内膜採取は良好で, 71例 (51.1%) はチューブ法に比べ多量の内膜が採取された. (4) 標本上に内膜細胞が採取されていなかった症例はEnd.法3例 (2.2%), チューブ法では出血の4例を含む7例 (5.0%) であった. また両者ともに挿入可能であった閉経後患者の比較では, 14例中11例はEnd.法に多量の内膜細胞が認められ, 本法は出血や閉経後の症例に優れていた. (5) 標本上の扁平上皮混在率はEnd.法51例 (36.7%), チューブ法115例 (82.7%), 同様に組織球のそれは, 15例 (10.8%), 47例 (33.8%) で, ともにEnd.法に低率であった. (6) 細胞像としては, End.法では正常の場合でも, より大型の重積する細胞集塊を作りやすく注意を要するが, 細胞個々の保存は良好である. 体癌ではブドウ房状形態よりは, 組織により近い腺管構造の断片として現れやすい.
著者
河野 美江 戸田 稔子 脇田 邦夫 高橋 正国 入江 隆 紀川 純三 寺川 直樹
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-3, 2001-01-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
9

目的:10代女性の子宮頸部擦過細胞診における異常例の頻度とその背景を知ることを目的とした.結果:松江生協病院産婦人科を受診した10代女性164例に対し子宮頸部擦過細胞診を行った. クラスIIIa以上の細胞診異常例は12例 (7.3%) にみられ, 11例がクラスIIIa, 1例がクラスIIIbであった. 細胞診異常例12例中4例が妊娠例であり, 性行為感染症が7例にみられた. 追跡が可能であった10例中7例では, 7~84ヵ月の間に細胞診判定が正常化した. クラスIIIbであった1例は子宮頸部円錐切除術で高度異形成と診断された.結論:細胞診異常例が高率にみられたことから, 10代であっても子宮頸部擦過細胞診を行うことが重要であると考えられた. また, 細胞診判定に際してはsexual activityが高い例では性行為感染症を含む炎症性変化に注意が必要であることが示された.