著者
河野 美江 西村 覚 荒川 長巳
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学・人文・社会科学・自然科学 (ISSN:18808581)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.41-45, 2009-12-25

近年、喫煙・飲酒・性行動は青少年の健康リスクといわれている。我々は今後の健康教育の手掛かりとするために、A大学1年生に対し精神健康度調査票12項目・日本版(GHQ)、喫煙・飲酒・性行動に関する質問紙調査を行った。質問紙の回収率は93.4%(499/534)、有効回答率は79.4%であった。対象の背景は、平均年齢18.5±0.5歳(18~19歳)で、男子49.7%(197/396,平均年齢18.6±0.5歳)、女子50.3%(199/396,平均年齢18.5±0.5歳)であった。13; 10代の1年生におけるGHQの平均値は2.5±2.9で、精神不健康率は38.9%(154/396)であった。喫煙率は3.0%(12/396)、飲酒率は49.0%(194/396)、性交経験率は19.7%(78/396)で、喫煙率は男子において有意に高かった(p<0.005)。精神不健康と喫煙、飲酒、性交経験について関連は認められなかった。喫煙・飲酒・性交経験の関連では、男子において飲酒と喫煙、性交経験と喫煙が、男女において性交経験と飲酒に関連を認めた(p<0.001,p<0.005,p<0.001)。以上より、大学内敷地内禁煙などの環境要因を整えるとともに、これらのリスク行動を防止するためにA大学の特性に対応した全員参加型の健康教育を検討・試行する必要性が示唆された。13;
著者
河野 美江 戸田 稔子 脇田 邦夫 高橋 正国 入江 隆 紀川 純三 寺川 直樹
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-3, 2001-01-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
9

目的:10代女性の子宮頸部擦過細胞診における異常例の頻度とその背景を知ることを目的とした.結果:松江生協病院産婦人科を受診した10代女性164例に対し子宮頸部擦過細胞診を行った. クラスIIIa以上の細胞診異常例は12例 (7.3%) にみられ, 11例がクラスIIIa, 1例がクラスIIIbであった. 細胞診異常例12例中4例が妊娠例であり, 性行為感染症が7例にみられた. 追跡が可能であった10例中7例では, 7~84ヵ月の間に細胞診判定が正常化した. クラスIIIbであった1例は子宮頸部円錐切除術で高度異形成と診断された.結論:細胞診異常例が高率にみられたことから, 10代であっても子宮頸部擦過細胞診を行うことが重要であると考えられた. また, 細胞診判定に際してはsexual activityが高い例では性行為感染症を含む炎症性変化に注意が必要であることが示された.
著者
執行 三佳 河野 美江
出版者
全国大学メンタルヘルス学会
雑誌
大学のメンタルヘルス = Japanese journal of college mental health (ISSN:24332615)
巻号頁・発行日
no.2, pp.107-113, 2018-10

学生のメンタルヘルスに関する指導・支援の充実が求められる中、支援を要する学生を支援につなげるための様々な工夫や各種研修が行われてきている。A 大学においても学生相談に関するFD 研修の実施や、教職員が「気になる学生」を保健管理センターに紹介し、連携して支援にあたる体制を構築してきた。 本研究では、教員の学生対応での困り感や学生対応についての認識、研修へのニーズについて現状を把握することを目的に、2016年2月にWeb アンケートシステムを利用して教員を対象としたアンケートを行った。特に、不登校・ひきこもり学生については望ましいと考える対応についても尋ねた。その結果、8割の教員が学生対応に困った経験を持っていることが分かった。また、多くの教員は、学生の話を傾聴する、学科で相談をする、保健管理センター等へ相談するなど複数の対応方法を適宜選んで対応しているにもかかわらず、学生対応への自信はあまりないことが分かった。教員が支えられ、自信を持って支援に向かえるような研修やコンサルテーションの工夫が求められていると考えられた。
著者
河野 美江 執行 三佳 武田 美輪子 折橋 洋介 大草 亘孝 川島 渉 布施 泰子
出版者
全国大学メンタルヘルス学会
雑誌
大学のメンタルヘルス (ISSN:24332615)
巻号頁・発行日
no.2, pp.82-89, 2018-10

近年、大学生の性暴力事件が報道されているが、実際は大学相談機関に被害者が相談に来ることは少なく、被害者が安心して支援を求められる体制整備は喫緊の課題である。今回我々は、大学における性暴力被害者に対する支援や性暴力に対する予防教育の必要性を明らかにすることを目的に、大学生における性暴力被害の実態と性暴力に関連する知識を調査し、性暴力被害経験と精神健康度との関連について検討した。 対象と方法:機縁法にて協力の得られた10大学20歳以上の大学生3,357人に無記名・自記式のアンケート調査を実施、有効回答の得られた643部を分析対象とした(回収率19.6%)。結果:レイプ未遂は7.8%(男子3.1%、女子9.7%)、レイプ既遂は2.6%(男子1.6%、女子3.1%)、何らかの性暴力被害経験は42.5%にあった。緊急避妊ピルについての知識は60.0%にあったものの、性暴力救援センターについては13.7%であった。また、性暴力被害経験のある学生のGHQ 得点は4.2±3.2点と被害経験のない学生に比べ有意に高く(p<0.001)、被害強度、被害重複数と弱い相関が認められ(p<0.001)、重度の被害ではメンタルヘルスに深刻な影響をもたらすことがわかった。 以上より、大学生に対して、性暴力に対する予防教育を行うと共に、大学の相談機関における性暴力被害者に対する支援方法の確立が急務と考えられた。