著者
足澤 萌奈美 脇田 雅大 上床 尚 阿部 恵 松島 理明 矢部 一郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.291-297, 2023 (Released:2023-05-27)
参考文献数
18

症例は50代男性.受診3年前から寒冷での皮膚変色を自覚し,2ヶ月前より微熱,体重減少,夜間の盗汗などのB症状と四肢異常感覚・表在覚鈍麻が加わった.血液検査で炎症反応亢進,リウマトイド因子(rheumatoid factor,以下RFと略記)高値,補体低下を認め,クリオグロブリン陽性であった.画像検査で全身リンパ節腫大がみられ,頸部リンパ節生検,筋生検を施行した.病理組織診で節性辺縁帯リンパ腫,クリオグロブリン血症性血管炎(cryoglobulinemic vasculitis,以下CVと略記)の診断となり,化学療法,ステロイド療法で症状は軽快した.CVは稀な免疫複合体性小血管炎であるが,血管炎を疑った際には鑑別に挙げ,RFや補体の測定を考慮し,感染症,膠原病,血液疾患などの原因疾患を検索すべきである.