著者
阿部 恵子 須山 祐之 川上 裕司 柳 宇 奥田 舜二 大塚 哲郎
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.69-73, 2007-06-01 (Released:2012-10-29)
参考文献数
4
被引用文献数
1

空気清浄機の除菌性能評価法を策定するために必要な基礎データを得ることを目的とした予備実験を試みた。供試微生物散布用の試験室を作製し, その試験室の空気中に浮遊させる微生物としてwallemia sebiおよびPenicillium freguentansの胞子を用意し, 胞子の散布にネブライザ法および超音波法を適用し, 散布胞子の採取にゼラチンフィルタ法を用いた。ネブライザ法と超音波法の何れの方法でも, 試験室内に胞子を散布することができた。市販の空気清浄機の除菌性能 (空中浮遊菌除去性能) の評価試験を試みたところ, フィルタによる空中浮遊生菌濃度の低減効果が認められたが, クラスタイオンによる低減効果は認められなかった。
著者
姜 允敬 加藤 信介 成 旻起 金 鐘訓 柳 宇 阿部 恵子 原田 光朗 柳原 隆司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.76, no.667, pp.793-798, 2011-09-30 (Released:2012-01-13)
参考文献数
17

For possible applications in the humidifier-elements of air-conditioning systems, we investigated the germicidal effect of microwave irradiation on fungal spores, e.g. Cladosporium herbarum and Fusarium solani as well as bacteria, e.g. Bacillus subtilis. For the irradiation of our samples we used a general-purpose microwave oven as well as a specially assembled microwave source that could emit microwave radiation at a frequency of 2.45 GHz. In our first experiment, we determined the optimum condition of the two parameters of radiation output power and exposure time to achieve the desired germicidal effects. Microbes on both dry and wet filters were used as samples. The second part of the study was aimed to determine whether the germicidal effect originates directly from microwave irradiation or rather from the radiation-induced heat. Our results indicate that the degradation of microbes is affected by the type of strain, microwave output power, exposure time and sample moisture (and thus induced temperature increase). And it was identified that germicidal effect by microwave is mainly due to the thermal effect.
著者
高野 裕佑 半谷 眞七子 立松 三千子 中村 千賀子 阿部 恵子 藤崎 和彦 亀井 浩行
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.12, pp.1387-1395, 2015 (Released:2015-12-01)
参考文献数
32
被引用文献数
4

We performed a survey of cancer patients' needs for drug treatment and support from pharmacists during treatment and evaluated the support that cancer patients can expect from community pharmacists in the future. The patients consisted of 16 members of the Cancer Patient Association in Aichi prefecture who underwent chemotherapy. The results of a semistructured group interview were qualitatively analyzed using the grounded theory method. Patients undergoing chemotherapy had high hopes for its effectiveness but were worried about side effects and medical costs. To overcome these problems, they hoped for a decrease in the economic burden, compassionate-use system, and development of novel drugs. The patients had anxiety because the side effects of chemotherapy often caused physical and psychological damage. Despite patients' confusion, pharmacists sometimes did not give adequate explanations to them. The patients expected more from pharmacists regarding medication support and hoped for a system allowing continuous side effect monitoring and consultation without hesitation. For patients undergoing cancer chemotherapy who are confused regarding side effects, pharmacists should understand the patient explanatory model and become more involved with patients as partners in treatment.
著者
小川 佳宏 阿部 恵 中尾 一和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.705-710, 2001-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1

レプチンは脂肪組織に由来する新しいホルモンであり,主に視床下部に発現するレプチン受容体に作用して強力な飽食シグナルを伝達するとともに,交感神経活動亢進によるエネルギー消費増大をもたらし,肥満や体重増加の制御に関与すると考えられている.一方,血中レプチン濃度は体脂肪量の増加に比例して上昇するため,肥満や肥満に合併する循環器・代謝疾患におけるレプチンの病態生理的意義が注目されている.筆者らは,重症肥満者と同程度に血中濃度が上昇するレプチン過剰発現トランスジェニックマウスでは,交感神経活動亢進による血圧上昇が認められることを明らかにしている.又,レプチンは血管内皮細胞に作用して血管新生を促進し,マクロファージ機能調節に関与すると報告されている.以上より,レプチンは肥満に合併する高血圧や動脈硬化症の発症に関与する可能性が示唆される.
著者
海老原 健 阿部 恵 日下部 徹 青谷 大介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

脂肪萎縮症においてレプチン治療が糖尿病、高脂血症、脂肪肝などの代謝異常を改善することをヒトにおいて明らかにしてきた。そこで本研究では、脂肪萎縮症以外にもより一般的な1型および2型糖尿病、高脂血症、脂肪肝において、レプチンが治療薬として有用であることを明らかにした。また、アミリンおよびGLP-1製剤が糖脂質代謝改善作用におけるレプチン抵抗性改善作用を発揮することを明らかにし、レプチン抵抗性状態における併用療法の有用性を示した。
著者
足澤 萌奈美 脇田 雅大 上床 尚 阿部 恵 松島 理明 矢部 一郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.291-297, 2023 (Released:2023-05-27)
参考文献数
18

症例は50代男性.受診3年前から寒冷での皮膚変色を自覚し,2ヶ月前より微熱,体重減少,夜間の盗汗などのB症状と四肢異常感覚・表在覚鈍麻が加わった.血液検査で炎症反応亢進,リウマトイド因子(rheumatoid factor,以下RFと略記)高値,補体低下を認め,クリオグロブリン陽性であった.画像検査で全身リンパ節腫大がみられ,頸部リンパ節生検,筋生検を施行した.病理組織診で節性辺縁帯リンパ腫,クリオグロブリン血症性血管炎(cryoglobulinemic vasculitis,以下CVと略記)の診断となり,化学療法,ステロイド療法で症状は軽快した.CVは稀な免疫複合体性小血管炎であるが,血管炎を疑った際には鑑別に挙げ,RFや補体の測定を考慮し,感染症,膠原病,血液疾患などの原因疾患を検索すべきである.
著者
佐野 寛 武田 敏充 阿部 恵子 右田 俊彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.5, pp.463-465, 1990-05-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

第二級アルコールであるシクロドデカノールから誘導される酢酸シクロドデシルとジフェニルシランをラジカル開始剤ジ-t-ブチルペルオキシド(以下DTBPと略記する)存在下加熱すると,デオキシ化されたシクロドデカンを生成した。この反応においてラジカル開始剤は不可欠であり,DTBPなしでは反応はまったく進行しない。またエステルとしては酢酸エステルが最もよい収率を与えた。第一級および第三級アルコールの酢酸エステルもデオキシ化されるが収率は低下した。アセチル化糖のデオキシ化では収率は低く,多量の副生物の生成が認められた。この原因としてジフェニルシランが2原子の活性水素をもつこと,およびラジカル条件下で他のシランに容易に不均化することがあげられる。
著者
阿部 恵子
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境学会誌 (ISSN:21864314)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.41-50, 1998-12-25 (Released:2012-10-29)
参考文献数
14
被引用文献数
3

冷房時のエアコンおよび住宅内部環境のカビ指数を調査した。カビ指数とは, カビをバイオセンサーに用いることにより調査箇所におけるカビ発生の可能性を評価するものである。冷房期間中, 室内はカビの育ちにくい環境になったが, エアコン吹出口は常に高いカビ指数が検出されカビの育つ環境であった。エアコン内部は吹出口よりもさらに高いカビ指数を示し, 著しくカビが成長しやすい環境になった。そこで, 住宅で使用していたエアコンを汚染するカビについて調査した。エアコン内部はカビ汚染が肉眼で観察できる状態で, クラドスポリウムが寡占種になっていた。汚染されたエアコンを通過した空気中から高頻度でクラドスポリウムが分離されたが, 新しいエアコンから吹き出される空気中にはカビがほとんど含まれなかった。冷房時にエアコン内部がカビの育ちやすい環境を保つことによりエアコン内部でカビが増殖し, その胞子がエアコン通過空気に載って室内に飛6散し, エアコンが室内空気の汚染源になることが明らかである。
著者
村田 敬 伊藤 佳代子 高木 洋子 森 栄作 安藤 理子 中川内 玲子 阿部 恵 河野 茂夫 山田 和範 葛谷 英嗣
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.845-848, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

症例は2型糖尿病の男性(49歳),前医にてインスリンおよびエパルレスタットの処方を受けていたが,歩行障害悪化を主訴に来院.BMI 14.9 kg/m2, 下肢優位で左右対称な軽度筋力低下,下肢優位の小脳失調症状を認めた.HbA1c 15.6%, 糖尿病網膜症なし,神経伝導速度は運動・感覚ともに低下.入院後,次第に筋力低下と歩行機能が改善.入院時の残血清中ビタミンB1濃度は0.6 μg/dlと低値.フルスルチアミン100 mg/日の点滴を行ったところ,筋力回復し,軽快退院した.管理栄養士による聞き取り調査では白米中心の偏食傾向があり,ビタミンB1の推定摂取量は0.5 mg/日と所要量(1.2 mg/日)の半分程度であった.以上のような検査結果・臨床経過から総合的に判断して,本症例の歩行障害の主因はビタミンB1欠乏症による脚気神経炎であった可能性が高いと診断した.脚気神経炎は糖尿病性多発神経障害と症状が似ており,つねに鑑別診断として念頭におく必要がある.
著者
牧迫 飛雄馬 阿部 勉 島田 裕之 阿部 恵一郎 小林 聖美 小口 理恵 大沼 剛 木村 英生 中村 好男
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.81-88, 2008-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
7

本研究では,重度要介護者を対象としたベッド上,ベッド周囲,居室内での動作および移動能力を定量的に評価する指標を開発し,その信頼性と妥当性を検証した。内容妥当性を満たした10項目からなるBedside Mobility Scale(BMS)を作成し,在宅にて理学療法士または作業療法士の訪問によるリハビリテーションを実施している163名(男性83名,女性80名,平均年齢76.4歳)を対象として,BMSによる動作・移動能力評価を行った。分析の結果,BMSには高い検者内および検者間信頼性が得られた。また,BMSは日常生活活動能力や日常生活自立度と有意な関連を持ち,特に重度要介護者および日常生活自立度の重度低下者の動作能力評価に適しており,臨床的意義が高いと考えられた。
著者
阿部 恵利子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.58, 2009 (Released:2009-09-02)

目的 近年、医学や発達心理学の分野において乳幼児期の視覚の発達の経緯が明らかにされつつある。これによると、色彩感覚や空間認知能力は乳幼児期の視覚体験によって獲得され、それ以後は訓練しても習得は難しいとされている。しかし、こうした視覚に関する知識を、乳児をもつ母親は認識しているのであろうか。そこで本研究は、乳児をもつ母親の空間認知に関する意識について調査・分析を行い、子どもの色彩感覚や空間認知の発達を促すための基礎的研究とすることを目的とする。 方法 子育てサークルの母親、20代16名、30代14名、計30名を対象にアンケート調査を行った。調査対象者の平均年齢は29.6歳である。 結果 月齢別の視力に関するアンケート調査では、1ヶ月の赤ちゃんが明るい色彩に反応することや、4ヶ月の赤ちゃんが目で物を追うことに対する母親の認知度は高いが、具体的な視力については認知されていないことが確認された。赤ちゃんの視覚については70.0%の母親が「関心がある」と回答しているが、空間認知や色彩感覚の発達を理由とする回答は得られなかった。また、乳児は黒・白・赤などの極端な配色や図柄に反応を示すことを認知している母親は少数であり、多数の母親が赤・青・黄の三原色を使用している玩具を「良い」と認識している傾向が示された。視覚と聴覚の発達に関する工夫をしているか否か、の質問については、視覚では66.7%、聴覚では52.3%の母親が「工夫していない」と回答している。このことは、住まいの色彩に関する質問項目において、母親の好みが優先されており、乳児の発達が考慮されていない現状と一致する。 乳児をもつ母親は、視覚に関心はあるものの、視覚に関する具体的な発達については認知しておらず、空間認知や色彩感覚の発達を促す意識は低い傾向が確認された。
著者
北條 秀博 松本 禎久 久能木 裕明 阿部 恵子 木下 寛也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.542-545, 2014 (Released:2014-12-19)
参考文献数
7

【はじめに】転移性膀胱腫瘍による膀胱出血に対し,1%ミョウバン水持続灌流療法が奏功した中等度の腎機能障害例を報告する.【症例】64歳,女性.腎盂がんに対する右腎尿管摘出後に多発リンパ節転移,腰椎転移を認めていた.腰痛緩和目的の入院中に残尿感や排尿困難を認めた.膀胱内に多量の凝血塊を認め,用手的膀胱洗浄後に生理食塩水の持続灌流療法を施行したが改善せず,1%ミョウバン水による持続灌流療法を開始した.肉眼的血尿を認めなかったため,灌流は7日間継続し中止した.灌流開始後9日目の採血では,血清アルミニウム値の上昇はなく,その後腰痛も軽減し,退院となった.退院3カ月後に自宅で死亡したが,その間に肉眼的血尿や尿閉はみられなかった.【考察】腎機能障害例ではミョウバン水持続灌流療法によりアルミニウム脳症などの重篤な副作用も報告されているが,灌流量の減量により安全で有効な治療法である可能性が示唆された.
著者
篠崎 惠美子 坂田 五月 渡邉 順子 阿部 恵子 伴 信太郎 藤井 徹也
雑誌
聖隷クリストファー大学看護学部紀要 = Bulletin Department of Nursing Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.22, pp.37-44, 2014-03-31

本研究の目的は、模擬患者(Simulated or Standardized Patient: 以下SP)養成において、SP が熟達する過程ごとの特徴を明らかにすることである。 対象は、2002 年から2012 年までSP 養成者が作成したSP トレーニング時、SP 参加型授業時のSP の発言・行動記録、SP 養成者の感想および介入の記録である。SP 養成過程は、ドレイファス・モデルを参考に、初心者、新人、一人前、中堅、達人のレベルとし、得られたデータを各レベルに分類し、特徴をカテゴリー化した。 その結果、一般市民であったSP が熟達する過程の特徴として、以下のカテゴリーが抽出された。初心者レベルでは<SP として不確実な自分>を感じ、新人レベルでは<SP として不安な自分>を感じる。さらに一人前レベルでは<SP として自覚が芽生える自分>を認識し、中堅レベルでは<SP として成長を感じる自分>を実感する。そして、達人レベルに到達すると<SPを極める自分>の存在を認識する。
著者
石川 和信 首藤 太一 小松 弘幸 諸井 陽子 阿部 恵子 吉田 素文 藤崎 和彦 羽野 卓三 廣橋 一裕
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.259-271, 2015-06-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
5

シミュレーション教育への理解と普及をはかり, 医学生の臨床能力の客観的評価システムを全国の医学部教員が連携して確立することを目的として, 第46回日本医学教育学会大会の開催翌日に, 医学生イベントとして, シムリンピック2014を開催した. 全国公募した12チーム36名の医学部5, 6年生が参加し, シミュレータや模擬患者を活用した6つのステーション課題に挑戦した. 各課題の構成, 難易度, 妥当性を臨床研修医の協力で検証し, 実行委員会でブラッシュアップした. 企画の構想, 実行委員会組織, 開催準備, 当日の概要, 参加者アンケート結果に考察を加えて報告する.