著者
仙波 裕之 徳力 幹彦 佐々木 伸雄 竹内 啓 臼井 和哉
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.771-781, 1984-12-15 (Released:2008-02-13)
参考文献数
21
被引用文献数
1

異常脳波の判定基準を作るために, 64頭のビーグル犬について, 年齢および意識水準の変化に対応する正常脳波の変化を調べた。鼻部に基準電極をおいた単極誘導法 (左前頭部-鼻部, 右前頭部-鼻部, 左後頭部-鼻部, 右後頭部-鼻部) と双極誘導法 (左前頭部-右前頭部, 左後頭部-右後頭部, 左前頭部-左後頭部, 右前頭部-右後頭部) の8誘導を同時記録した。生後1日にときおり出現した律動波はその後頻度を増し, 1週齢には常にみられた。2週齢では, 覚醒期と睡眠期との判別が脳波上で可能となった。5週齢では, 覚醒期, 軽睡眠期, 中等度睡眠期, および深睡眠期の区別が可能となった。これは, 脱同期, 8-13 Hzの律動波, 痛波, 初期紡錘波, および3 Hz以下の徐波などが5週齢から出現したためであった。これらの波の振幅ほ次第に増し, 10-12週齢で最大となり, その後は次第に減少した。覚醒期~深睡眠期の脳波の週齢変化から, 脳波が成犬型になる時期は, 20-30週齢であることが明らかとなった。