著者
色川 卓男
出版者
社会・経済システム学会
雑誌
社会・経済システム (ISSN:09135472)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.91-97, 2006-10-14 (Released:2017-07-28)

This paper examines the causal relationships between marriage and subjective well-being in detail in a longitudinal data set spanning 12 years. We get the following ; 1) when there are wives with children at the time of first marriage, they should not be so happy. In other words, childless single women who will get married are happier than single women with children who will get married. In Japan, at least, we find that there is an order model for marriage. 2) Single women who will marry are not much different subjective well-being than those who will not marry in 4 year ago at the time of first marriage. Single women gain subjective well-being by marrying. 3 ) Wives with small differences in their level of education between spouses don't gain, on average, much different subjective well-being from marriage than wives with large differences. For Japanese wives, differences in their level of education between spouses have no effect on their subjective well-being from marriage. 4) Social stratification like income, education status of their household has some effect on their subjective well-being from marriage. In conclusion, as for the wives, all gain subjective well-being from marriage. But, it is slightly different between their social stratification
著者
坂井 素思 馬場 康彦 色川 卓男 影山 摩子弥 永井 暁子 濱本 知寿香
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

この研究の目的は、「生活政策学」という研究分野の可能性について、基礎的かつ応用的な模索を行うことにある。現代社会の変動は、少子高齢化やサービス経済化などを通じて、政府・市場・家計などの経済領域に対して、かなり強い影響を及ぼしてきている。たとえば、労働や社会組織のフレキシビリティ問題は、典型例である。あるいは、少子高齢社会の中での柔軟な「仕事と家庭」との社会的な調整の問題などが起こってきている。このため、今日の生活領域では、政府が行う公共政策、企業や家庭が行う経営・運営なとが「ミックスした状況」のもとで政策が立てられてきている。このような状況のなかで、これらの社会変動のもたらす弊害に対して、総合的な視点が求められている。このような変動する社会の不確実な状況に対して、一方では市場経済のなかで個人がそれぞれ能力を高めて、これに対処することが求められ、他方で個人では対処が困難なときには、公共政策が企てられてきている。実際には、このような二つの領域が接するところで、はじめてこれらの行動原理が調整される必要があり、ここに生活政策学が求められる可能性がある。基礎的な研究作業では、「生活政策」とは何かについての理論的な研究の展望が行われた。従来、「政策」とは政府が中心として私的分野へ介入を行うような公式的な施策が基本的なものであった。けれども、今日では政府以外の組織によって行われるインフォーマルな施策にも、「政策」と同等の位置づけが行われるようになってきている。このような状況のなかで、これらの複合的な政策に関する整合的な理論が求められている。「生活政策学」に関する応用的な研究を行う段階では、それまで行ってきた基礎的な研究、その性質についておおよその見通しが得られたので、これらの成果を基にして、公共領域と市場領域、市場領域と家計領域、さらに家計領域と公共領域などに見られる中間的な組織や経済制度を対象に選んで、「事例研究」を進めてきている。このなかで、国や地方公共団体のIT政策の生活政策的意味についての検討を試みた研究、または、成果主義や裁量労働制などが導入されている現代における労働生活過程のシステム転換について考察を行った研究、あるいは、生活領域における「ケア」のあり方のなかに、社会の中間的な組織化の原理があると考え、このようなケア組織化の特性についての研究、さらには、平成不況の特質について、現代日本の家計構造を調べることで明らかにしている研究などの成果が上がってきている。
著者
色川 卓男
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の課題は、全国政令指定都市及び人口20万人以上の主要市区における消費生活センター及び消費者行政及び消費者教育・啓発施策の実態と課題を示すことにあった。政令指定都市は2008年に、主要都市は2010年に、いずれもアンケート調査及びインタビュー調査、施設調査を行い、その結果に基づいて分析を行った。典型的な例をまとめると、正規職員は人口20万人に1名配置されており10万人増えるごとに1名職員が増加していた。住民1人あたりの消費者行政予算は政令指定都市では50円を超えているが、主要都市では40~50円にとどまっていた。次に施設では、相談スペースとして、いずれも相談室を設置しており、政令指定都市では、閲覧スペース、消費者団体利用スペースと研修室がある。最後に相談では、平日はいずれも7時間以上相談を受け付けており、実質相談員数は人口10万人あたり0.6~1人ほど配置されている。また、消費者教育・啓発施策では、いずれの場合も消費生活センターを中心とする消費者行政担当部局による消費者教育・啓発施策は啓発施策がその中心であり,とりわけ出前講座が大きな比重を占める。しかし都市ごとに,取り組み状況が異なり,かなり格差がみられる。また消費者教育施策においては,多くの都市がなかなか実施できていない。