著者
芳井 研一 井村 哲郎 広川 佐保 児嶋 俊郎 塚瀬 進 小林 元弘
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、日中戦争期とアジア太平洋戦争期の南満州鉄道沿線の社会変容に関する資料調査研究を行うことであった。そのため交付期間中を通して遼寧省档案館や吉林省社会科学院満鉄資料館、社会科学院近代史研究所図書室、北京市档案館などでの調査を実施し、資料の収集を実施し得たことは計画通りの成果であった。収集したいくつかの重要史料については、不二出版社から5冊の史料集として刊行し得たことは、本研究をめぐる成果の一環である。他方、一連の資料の収集を踏まえて研究をとりまとめ、研究期間中の毎年度に国際ワークショップを共催して成果を発表したことは主な実績である。
著者
井村 哲郎 芳井 研一 原 暉之 SAVELIEV IGOR 古厩 忠夫
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は,これまで未公開であったロシア国立歴史文書館(RGIA,在サンクトペテルブルグ)が所蔵する中東鉄道文書中の近現代中国東北をめぐるロシア、中国,日本の関わりを記す文書をいかに利用するかを明らかにするために行なったものである。中東鉄道は,帝政ロシアのアジア進出のために19世紀末に中国東北を横断して建設された。日露戦争後、大連-長春間は日本に割譲されたが,1935年に満州国が買収するまで存続した。中東鉄道は,ロシアおよび革命後のソ連の対中国・対中国東北政策に重要な役割を果たした。中東鉄道文書には,鉄道経営に関わる文書だけではなく,19世紀末から1930年代までの中国および中国東北の政治・経済情勢,日本情報などが豊富に含まれている。中国東北近現代史研究および中国東北をめぐる日中関係史研究ではこれまで,ロシア語資料はほとんど利用されていない。これは,主に史資料がこれまで未公開であり,どこに所蔵されているかも明らかではなかったためであるが,こうした史資料状況の欠落を埋めるために,ロシア国立歴史文書館が所蔵する中東鉄道文書について書誌調査を行ない,とくに中国東北をめぐる日本,中国,ロシア3国に関わる文書群から,重要なジェーラを選択しロシア語の抄録とその日本語訳を行ない最終報告書として資料目録を編纂した。また,本プロジェクトの一環として、2004年度には中間報告書「ロシア国立歴史文書館所蔵『中東鉄道文書』にみる19世紀末-20世紀初頭中国東北の国際関係」を刊行した。また同年度には、サンクトペテル大学東洋学部において東洋学部と共催して国際ワークショップ「サンクトペテルブルグ所在史料に見るアジア」を開催し,その報告書を刊行した。本ワークショップによって研究代表者井村はプーチン・ロシア大統領から記念メダルを授与された。今回作成した報告書に含まれる中東鉄道文書のジェーラ数は、総ジェーラ数20,784のうちわずか236にすぎないが,それでも義和団事件に際しての中東鉄道警備,満鉄など日本側との関係など、貴重な内容を記す文書が発見される。今後の中東鉄道研究および中国東北研究に有用なツールとなろう。