著者
田村 美歩 木原 康之 村上 晴彦 畠山 佳久 芳川 一郎 大槻 眞
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.129-134, 2003-02-28 (Released:2011-03-02)
参考文献数
23
被引用文献数
1

症例は58歳, 男性.主訴は左臀部痛.1987年に糖尿病と診断, 1990年よりインスリン治療を開始されたが血糖コントロールは不良であった.1994年より両外踝部に潰瘍を形成し治療を受けるも軽快・増悪を繰り返し, 同部滲出液の細菌検査でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (以下MRSAと略す) を検出していた.1999年10月に転倒, 臀部に疼痛が出現し入院となつた.左臀部に圧痛を伴う発赤, 腫脹を認め, 白血球数16, 700/μl, CRP24.6mg/dlと著明な炎症所見を認めた.CT所見より左大臀筋膿瘍と診断, 膿瘍穿刺液, 右外踝部滲出液, 血液および尿培養でMRSAを検出した.膿瘍ドレナージと抗生剤投与で膿瘍は治癒した.本例では右外踝部潰瘍から化膿性足関節炎, さらにMRSA菌血症を引き起こし, 打撲部である左大臀筋に膿瘍を形成したと推測された.糖尿病患者では易感染性から全身性合併症を引き起こすことがあり厳格な血糖コントロールが重要である.
著者
川野 紀子 田代 充生 田口 雅史 木原 康之 芳川 一郎 宿輪 和孝 山崎 雅弘 久米 恵一郎 大槻 眞
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.1627-1633, 2008 (Released:2008-11-05)
参考文献数
19

症例は73歳男性.排便時の肛門部痛を主訴に来院した.直腸Rb部に直径4cm大の一部黒色を呈する隆起性病変を認め,肝転移をともない,直腸肛門部悪性黒色腫(Stage IV)と診断された.dacarbazine,nimustine,cisplatin,tamoxifenによる多剤併用化学療法(DAC-Tam療法)に加えinterferon-βの局所投与を施行したところ,1コース終了時には疼痛の消失と原発巣の縮小,肝転移の消失を認めた.計6コース施行後に,直腸腫瘍からの出血コントロールに対する放射線治療を併用した.化学療法を合計8コース施行し,初回治療開始後24カ月経過した現在も生存中である.