著者
英 晴香 長尾 慶子 久松 裕子 粟津原 理恵 遠藤 伸之 原田 和樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】抗酸化能の高い中国料理の調製を目指し、今回は"紅焼白菜"をとりあげ、具材の魚介類ならびに野菜・キノコの種類を変えて抗酸化能をそれぞれ検討し、食材の組み合わせにより抗酸化能を高める調理法を見出し提案する。【方法】白菜の煮込み料理である"紅焼白菜"の魚介類として、タラ、サケ、ボイル済みカニ、および加工品のカニカマボコとチクワをとりあげ、抗酸化能をそれぞれ測定し、抗酸化能の高い魚介類を選定した。野菜類においても、白菜、キャベツの原種であるケールおよびキノコ三種(エノキタケ、ブナシメジ、シイタケ)をとりあげ同様に抗酸化能を比較した。これらの結果をもとに、抗酸化能の高い食材に置き換えて作成した"紅焼白菜"をモデル料理とし、一般的な材料で作成した基本料理と比較した。各料理を凍結乾燥後、粉砕し、水および70v/v%エタノールで抽出し、測定に用いた。AAPHによりペルオキシラジカルを発生させ、化学発光(ケミルミネッセンス)法で活性酸素ペルオキシラジカルの捕捉活性を測定し、IC50値および抗酸化量値として求め、基本料理とモデル料理を比較した。【結果】カニの抗酸化能が他の魚介類に比べて有意に(p <0.05)高い結果となった。野菜では白菜に比べてケールの抗酸化能が特に高くなった。キノコの抗酸化能はエノキダケ>シイタケ>ブナシメジの順となった。結果をもとに魚介類はカニを用い、白菜の一部をケールに代替し、キノコはエノキダケに、さらに薬味のコネギとショウガを加えて調製したモデル料理の"紅焼白菜"では、基本料理に比べて抗酸化能が向上したことから、食材の組み合わせの工夫により嗜好性と健康面に配慮した大菜料理を提案できると判断した。