著者
茂登山 清文
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement1, pp.129-132, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

ジェフ・ウォールの作品《戦死した兵士たちは語る (1986年冬, アフガニスタンのモコル付近における赤軍偵察隊の待ち伏せ攻撃のあとの幻影) 》は, 一見, 戦闘後の悲惨な光景を撮った写真のように見える.しかし実際には, 周到な準備とパートごとに分けての撮影, そしてその後のコンピュータによるディジタル処理をへて, 可能となった現代の歴史画である.スーザン・ソンタグは, その著『他者の苦痛へのまなざし』の最終章において, この作品をとりあげ, 写真というメディアが一過的で, 倫理的政治的には無力でしかないという.しかし, この作品をひとたび芸術として見るなら, そこにはまた異なった意味が見いだされる.鑑賞者が感情移入しようとしてはぐらかされるという, イメージとの共感の不可能性, コミュニケーションの不在は, イメージのなかの人物たち相互の関係性と呼応し, お互いを補強し, 強力なメタメッセージを発信しているのである.
著者
林 桃子 張 冠文 茂登山 清文
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.13-21, 2015

イメージを言語を通して理解するのではなく,イメージを直接見ることによって受け止め,解釈すること(イメージリテラシー)が重要だと考えている.本稿では,イメージを理解するためのより効果的な方法への手がかりとして,人が写真を見る際の注視行動の特性を分析することを目的とする.写真の被写界深度と注視行動の関係についての実験と,注視率,注視範囲などから注視行動の特性を測るための実験を実施した.分析では,注視点のクラスタ間の距離,クラスタの範囲,タイムスパン,クラスタ数を特徴ベクトルとし,k-means++法を用いてクラスタ分けを行った.結果として,注視行動の特性に共通性を見いだすことができた.
著者
高橋 信雄 茂登山 清文 安田 孝美
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 = ITE technical report (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, no.16, pp.71-74, 2014-03

CG画像と実写画像を合成する際,両者をシームレスにつなぎ合わせるには,CG画像の二次元フィルター処理が不可欠となる.通常CG制作の現場では,この処理を作業者の感覚に依存するため,CG実写合成の水準にはばらつきを生じている.本論文では,実写画像から撮像系の解像特性を取得し,それをCG画像の二次元フィルター処理に応用する手法を提案する.これにより,CG実写合成の際,簡便で正確な二次元フィルタリングが可能となる.
著者
伏見 清香 茂登山 清文
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.53, pp.136-137, 2006-06-20

This system aims at deepening the viewer's understanding of artwork through the use of a mobile phone system. The system has two goals: observation and expansion. When in the presence of an artwork, the viewer records their impressions by means of a mobile phone interface. The recording of the viewer's experience can be input into a mobile phone as the viewer is in front of the actual work. In order to form a deeper experience with the museum and stimulate repeat visits, during which one can form and ongoing appreciation of a work, prior personal experiences and other's opinions can be accessed and new ideas can be recorded, comparing old experiences to new.