著者
若林 克法 草部 浩一
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.344-352, 2008-05-05
参考文献数
57

サッカーボール状分子C_<60>,炭素ナノチューブの発見は,その興味深い形状と多彩な電子状態から,物理,化学,工学の各分野から強い関心を巻き起こし,ナノスケールにある炭素物質は,今やナノサイエンス/ナノテクノロジー研究における代表的な物質としての地位を占めている.最近では,グラファイトから一原子層のグラファイトシート(グラフェン)を引き剥がして得たサンプルにおいて,従来の2次元電子系とは異なった電子輸送特性が測定されたことを契機に,グラフェンの特異な電子状態を利用した電子デバイスの研究が精力的に行なわれている.本稿では,グラフェンにおけるメゾスコピック効果に着目し,ナノスケールにあるグラフェン,つまりナノグラフェンには端の形状によって特異な電子物性が現われることを概説する.
著者
草部 浩一 丸山 勲
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々が開発した電子の相関運動を表現可能とする新しい密度汎関数法によって、遷移金属酸化物など強い電子相関を示す物質の電子状態計算を行った。新手法の特許取得を行って情報公開を進めた。高温超伝導を示す銅酸化物において電子状態の評価を進め、未知の物質相を複数理論的に発見した。既存のHg系やTl系の置換系として見出したものであってこれらと同等の超伝導性を示しうるという理論結果を得た。さらに、α相MNX物質、アルカリドープされたピセンなどの超伝導物質、La2CuO4などの磁性体の電子状態計算を進め、グラフェン中の欠陥起源による強相関電子状態では実験グループとの共同で新構造の発見から決定までを行った。