著者
荒川 健佑
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、乳酸菌の抗真菌性に着目し、真菌をターゲットとした「バイオプリザバティブ(食品保蔵因子)」と「プロバイオティクス(保健機能因子)」の両面で食品利用可能な乳酸菌株の単離・選抜・同定(1年目)、選抜菌株が産生する抗真菌物質の単離・精製・同定(2-3年目)、選抜菌株の効果についてのin vitroおよびin vivo評価(2-4年目)を行う。
著者
侯 歌川 藤川 皓江 荒川 健佑 宮本 拓
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.125-132, 2013-03-15 (Released:2013-04-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

GABA は,血圧降下作用やストレス緩和作用などの生理機能を有するタンパク質非構成アミノ酸である.本研究では,世界の発酵乳製品から分離した乳酸菌の中からGABA生産活性の高い菌株を選抜し,GABA 生産活性に及ぼす諸要因について調べた.その結果,GABA高生産乳酸菌として,Lc. lactis subsp. lactis KM,Lc. lactis subsp. lactis DH1およびLb. brevis 1056 の 3 菌株を選抜した.中でも1056 株は,GABA 生産活性が非常に高く,初発培地 pH 4.0-8.0 の広い範囲で安定して GABA を生産した.また,1056 株は,基質となるグルタミン酸ナトリウムの濃度に依存して高くなる GABA 生産性を示し,さらに,培養後比較的短時間で多量の GABA を生産することが明らかとなった.これらの特徴は,1056 株が GABA を富化した機能性食品の開発に有用であることを示している.1056 株で調製した鶏肉発酵調味液の GABA 含量(1.51 mg/mL)は,本菌株の食品利用への有用性をさらに支持するものであった.