著者
荒木 周 中井 紀嘉 安井 敬三 長谷川 康博 祖父江 元
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.421-428, 2012 (Released:2012-11-23)
参考文献数
15

【目的】急性期の一過性脳虚血発作(TIA)の患者におけるMRI FLAIR像でのhyperintense vessel sign(HVS)の頻度とその患者群の臨床的特徴について明らかにする.【方法】神経学的局在所見が発症後24時間以内に消失した165例を対象にHVSの有無を後方視的に調査した.HVSの有無で2群に分けて臨床像・検査の諸項目を比較検討した.【結果】HVSは対象の9.7%に認めた.HVS群は50%以上の主幹動脈狭窄を合併し,TOAST分類でlarge vessel typeと推定できるものが多かった.ABCD2スコアや拡散強調像での脳梗塞の有無とは無関係であった.HVS群の94%でHVSを呈した動脈と神経症候が合致した.HVS群の80%で平均60日後にHVSの消失を確認した.【結論】急性期TIAでのHVSは虚血の存在を客観的に示す画像所見として診断の上で有用と考える.
著者
藤岡 祐介 真野 智生 荒木 周 橋詰 淳 辻本 昌史 須賀 徳明 冨田 稔 安井 敬三 長谷川 康博 柳 務
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.15-22, 2009 (Released:2009-02-24)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

50歳以下で発症した若年性脳梗塞において,臨床特徴を検討した.対象は2002年1月から2006年12月までの5年間に当院に入院した急性期脳梗塞患者の連続2,080例である.このうち若年群は93例(4.5%)で,年齢は最低が15歳,平均は42.4歳であった.高血圧,糖尿病,心房細動を有する頻度,アテローム血栓性脳梗塞の割合はそれぞれ非若年群で有意に高かった.一方,喫煙の頻度,発症時に頭痛を伴う割合,動脈解離,血管炎をはじめとするその他の脳梗塞や原因不明の脳梗塞の割合は若年群で有意に高かった.退院時mRSは若年群で有意に低かった.発症後3時間以内の来院およびrt-PA使用の頻度は若年群と非若年群で有意差を認めなかった.若年の心原性脳塞栓症では非弁膜症性心房細動の割合は低く,何らかの先天性心疾患を有する割合が高かった.また,動脈硬化性脳梗塞は40歳を境に急増しており,動脈硬化性脳梗塞の若年化が示唆された.