著者
菅原 幸治 南石 晃明 阿部 浩 井手 洋一
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.123-137, 2006
被引用文献数
2

都道府県による病害虫雑草防除基準の作成を支援するため, クライアント・サーバ型の農薬登録情報取得・編集システムを提案し, 開発を行った. 6県の病害虫雑草防除基準の内容を調査したところ, 県ごとに書式は異なるが作物ごとの農薬使用基準表などのデータ項目は共通部分が多いことがわかった. このため, 更新頻度の高い農薬登録情報のデータベースをサーバ側で一括管理し, Webを通して農薬使用基準データの提供を行うとともに, 各クライアント側でサーバから任意にデータを取得して編集を行うシステムが妥当であると考えた. 開発したシステムの構成は, 農薬登録情報のデータベース (農薬ナビDB) から農薬使用基準データを抽出して配信するサーバ側アプリケーション「農薬ナビDBサーバ」, ならびに, 対象とする農薬, 作物, 病害虫雑草に応じて農薬使用基準データを取得し並べ替え・集計等の編集を行うクライアント側アプリケーション (以下, クライアントアプリ) からなる. クライアントアプリは利用目的に応じて多数の種類があってよいが, 汎用性の高いクライアントアプリとして, データ検索・取得の操作性を追求した「ACFinder for 農薬ナビ」, ならびにデータの取得後に任意に編集可能な「ACLoader」を開発した. クライアントアプリ上でデータの並べ替え, 集計, 二次検索, 追記などの操作を直接行うことで, データの検索・編集に要する労力を軽減可能となる.
著者
菅原 幸治 田中 慶 大塚 彰 南石 晃明
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.381-393, 2006
被引用文献数
1 1

農薬適正使用ナビゲーションシステム (農薬ナビ) の研究開発にもとづき, 農薬使用の事前判定・履歴記帳を携帯電話単独でインターネット接続せずに可能にするべく, NTTドコモの携帯電話FOMA端末上で作動するアプリケーション (iアプリ) として「農薬ナビ誤用防止君」 (以下, 誤用防止アプリ) を開発した. 全体的なアプリケーション構成はクライアント・サーバ型システムであり, クライアント側アプリケーションである誤用防止アプリと, 作物・品種, 農薬使用基準等のマスタデータと農薬使用履歴データを管理するサーバ側アプリケーション (以下, サーバアプリ) からなる. これにより, 個々の生産者が携帯電話上で使用する誤用防止アプリでは農薬使用の適正判定・履歴入力を行い, サーバアプリではマスタデータの送信および農薬使用履歴データの受信・表示を一括して行うことができる. 生産者が誤用防止アプリを利用するには, その栽培作物や使用農薬にあわせて, サーバアプリのデータベースにおけるマスタデータ, 特に農薬使用基準を事前に登録する必要がある.<br>長野県JA長野八ヶ岳野辺山営農センターとその管内の野菜生産者5名の協力により, 本アプリケーションによる農薬使用の適正判定・履歴入力および履歴データ収集の評価試験を2005年6~10月に実施した. 営農センター職員からは, サーバアプリの農薬使用履歴表示機能について, 生産者および圃場作付け区画ごとの収穫可能日が事前に確認できる点でプラスの評価が得られた. 一方, 誤用防止アプリを使用した生産者からは, 利点を感じない旨の意見もあったが, 農薬使用に慣れていない者には有用かもしれないとの評価が得られた. 誤用防止アプリについては, 操作がやや面倒であることのほか, 収穫予定日が変更になる際に随時その修正を行う必要がある点が指摘された. また, 改良要望として, 区画や農薬の選択入力の際にそれぞれの収穫予定日や収穫前日数を表示すること, 農薬使用履歴の表示をより見やすくすること, 生産者ごとに使用農薬をマスタデータに登録することなどが挙げられた.