著者
風間 孝 河口 和也 菅原 智雄 市川 誠一 木原 正博
出版者
The Japanese Society for AIDS Research
雑誌
日本エイズ学会誌 (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.13-21, 2000-02-20 (Released:2010-07-21)
参考文献数
9

目的: HIV感染が増加している男性同性愛者のHIVについての知識と性行動を明らかにすることを目的とした。対象と方法: 東京でのエイズ予防啓発イベントおよびサークル参加者 (301人) に質問票調査を実施し、有効回答数255 (84.7%) を得た。結果: 性的空間利用者 (84人) のアナルインターコース経験率は40.5%で、性的空間非利用者 (151人) の19.2%に比して有意 (p<0.05) に高かったが、 コンドーム使用には差がなかった。また、性的空間利用者でコンドームを常時携帯する割合 (22.6%) は有意 (p<0.05) に高いものの、コンドーム使用の意思を相手に必ず伝えられる割合は有意 (p<0 .05) に低かった。エイズへの関心について能動的関心層 (193人)、受動的関心層 (21人)、無関心層 (25人) を比較したところ、インターコースの経験率 (各、32.1%、9.5%、12.0%) は能動的関心層が高い傾向にあったが、コンドーム使用では差がなかった。HIV感染者との交流群 (60人) は感染者との非交流群 (185人) に比べて一般知識の正答率が高かった。また、感染者との交流群は、インターコースの経験率 (45.0%) およびその際のコンドームの使用割合 (77.8%) がともに有意 (p<0.05) に高かった。結論: コミュニケーション重視型の啓発と、HIV感染者を孤立させない社会環境をつくる重要性が示唆された。