著者
五百旗頭 正 菅家 正康 藤本 泰成 鈴木 新悟
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.186-194, 1995-02-15
参考文献数
10
被引用文献数
30

カオス的振る舞いをする時系列データの短期予測は、従来ノイズ、あるいは規則性の無いものと考えられていた事象に、何らかの決定論的規則性を見いだし、その近未来の状態を予測しようとするものである。これは、観測された時系列データをタケンスの埋め込み定理により多次元状態空間に再構成し、最新に観測されたデータを含むデータベクトルの近傍ベクトルを用いて局所再構成を行う事により短期予測を行うものである。この方法としてグラムシュミットの直交系法やテセレーション法などの提案があるが、前者は近傍ベクトルの選択の仕方によっては、予測不可能になる事があり、また後者は再構成状態空間の次元が高くなるに従って、計算時間が急激に増大するといった問題がある。本論文ではこれらの問題を解決するために、局所ファジィ再構成(Local Fuzzy Reconstruction)法を提案する。そして、この方法の有効生を確認するために、代表的なカオス的振る舞いをするロジスティックマップおよびローレンツアトラクタの短期予測に適用しその結果について考察する。