著者
五百旗頭 正 菅家 正康 藤本 泰成 鈴木 新悟
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.186-194, 1995-02-15
参考文献数
10
被引用文献数
30

カオス的振る舞いをする時系列データの短期予測は、従来ノイズ、あるいは規則性の無いものと考えられていた事象に、何らかの決定論的規則性を見いだし、その近未来の状態を予測しようとするものである。これは、観測された時系列データをタケンスの埋め込み定理により多次元状態空間に再構成し、最新に観測されたデータを含むデータベクトルの近傍ベクトルを用いて局所再構成を行う事により短期予測を行うものである。この方法としてグラムシュミットの直交系法やテセレーション法などの提案があるが、前者は近傍ベクトルの選択の仕方によっては、予測不可能になる事があり、また後者は再構成状態空間の次元が高くなるに従って、計算時間が急激に増大するといった問題がある。本論文ではこれらの問題を解決するために、局所ファジィ再構成(Local Fuzzy Reconstruction)法を提案する。そして、この方法の有効生を確認するために、代表的なカオス的振る舞いをするロジスティックマップおよびローレンツアトラクタの短期予測に適用しその結果について考察する。
著者
宮本 礼子 藤本 泰成 井上 薫 伊藤 祐子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.289-298, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
22

本研究は右利き者の筆順に着目した際の左右手の運筆機能の相違を解明することを目的とした.20名の健常右利き男女を対象に,日本語の字体的特徴を含む図形4種に筆順条件を付加した課題を実施した.収集したデータは 図形を要素に分解し,描画時間・筆圧・仰角・方位角・筆跡躍度・筆跡一致率に関する左右手データを比較した.結果,多くの要素で右手での筆圧が高く,仰角と方位角は要素毎に特徴的な左右差を示した.一方筆跡躍度と筆跡一致率に左右の有意差はなかった.今回筆順条件を加えたことで左右手の運筆機能の違いを示すことができた.非利き手では筆順の影響に伴う不自然な運動方向となり,筆圧がかかりにくいことが明らかとなった.
著者
内尾 優 長谷川 三希子 猪飼 哲夫 内山 温 楠田 聡 藤本 泰成 新田 收
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.347-357, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
33

【目的】超低出生体重児の自発運動の特徴と新生児枕による即時的影響を明らかにすることである。【方法】対象は,神経学的異常のみられない超低出生体重児群8 名(平均出生体重729 ± 144 g,平均在胎期間24.6 ± 2.0 週),正期産児群8 名とした。評価時期は,修正月齢1 ヵ月に行った。評価機器は,乳児自発運動評価を目的に開発された小型の三次元動作計測システムを用い,児の自然な自発運動を新生児枕有無の2 条件で記録した。得られた三次元座標データより自発運動の平均速度,対称性,流暢性,突発性を算出し,比較した。【結果】超低出生体重児の自発運動は,正期産児と同様の平均速度,流暢性,突発性を示したが,正期産児と比較し非対称性を示した。また,新生児枕の使用により即時的に非対称性が軽減した。【結論】神経学的異常のみられない超低出生体重児の自発運動の特徴は,非対称性であり,新生児枕の使用により軽減できる可能性が示唆された。
著者
内尾 優 長谷川 三希子 猪飼 哲夫 楠田 聡 内山 温 藤本 泰成 新田 收
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>新生児期~乳児期初期にみられるまだ意思を持たない運動は自発運動と呼ばれ,その運動を通した経験により感覚運動発達は進む。早産児として出生した超低出生体重児は神経学的異常がみられなくとも,正期産児に比べ自発運動は劣り,感覚運動発達全般が遅延する。しかし,その自発運動を客観的に評価したものや介入による改善を報告したものは少ない。超低出生体重児の頭部は大きく,縦長扁平で,非対称な姿勢を呈しやすい特徴を持つ。そこで今回,超低出生体重児の自発運動の特徴,及び新生児用枕の有無による自発運動への即時的影響を明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は神経学的異常のない超低出生体重児8名(男5/女3,平均在胎週数24週6日±2週0日,平均出生体重729.4±144.8g),正期産新生児8名(男4/女4,平均在胎週数38週1日±0週6日,平均出生体重3152.6±390.2g)とした。評価機器は乳児自発運動評価を目的にプログラミングされたKinect for Windows v2を用い,両手首に異なる2色のマーカーを貼布した。評価は修正月齢約1か月に,超低出生体重児は新生児集中治療室内,正期産新生児は対象児の自宅内で外的刺激の少ない環境下にて行った。肌着1枚を着せた状態で,背臥位での自発運動を各群とも新生児用枕有無の2条件で約3分間ずつ記録した。枕の有無は対象毎に無作為に順番を入れ替えて行った。解析対象は児の機嫌が良いstate 4の状態で,かつ自発運動が連続して確認できたはじめの30秒間とし,評価機器より得られた両手首の3次元座標データ(34 Hz)から各指標 ①平均速度,②非対称性(左右上肢平均速度のLaterality Index),③突発性(加速度の尖度),④滑らかさ(躍度Jerk Index)を算出し,両群を枕の有無で比較した。統計解析は各指標に対し,対象(超低出生体重児,正期産新生児)と枕(有,無)を要因とする二元配置分散分析を行った。さらに対象の違いと枕の有無を含めた全ての4条件をBonferroni法による単純主効果の検定にて検討した。有意水準は5%とし,統計ソフトにはSPSS ver.23を用いた。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>二元配置分散分析の結果,各指標①~④に対し,枕による主効果,交互作用は認めなかった。単純主効果の検定の結果,枕無し条件での②非対称性(左右上肢平均速度のLaterality Index)は,超低出生体重児のほうが正期産新生児に比べ,有意に大きかった(p<0.01)。枕有り条件では有意差はみられなかった。指標①,②,④では有意差はみられなかった。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>神経学的異常のない超低出生体重児の上肢自発運動は,正期産児と同様の速度,突発性,滑らかさを有していたが,左右の非対称性があることが示された。また,新生児用枕の使用により非対称性を軽減する可能性が考えられた。</p>