著者
菅沼 栄一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 工学 (ISSN:0085834X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.197-204, 1971-03-20

超硬合金の陽極溶解において観察される分極曲線には二つの電流低下域がある。そのうち,低電位域の現象については,先に考察した不働態化によるとする考えの他に,表面の脱コバルトに起因するとした考えがある。本論はこの点に関する一つの検討である。定電位法により,5%硝酸ナトリウム水溶中のWC-Co(12wt%)合金の種々の電位における電流一時間曲線を測定し,これをもとに解析をおこない,電極電位と脱コバルト層の深さとの関係を得た。脱コバルト説ではここに得られた関係を説明することは困難と思われる。