著者
内田 有紀子 大石 響子 中西 真 藤井 達生 高田 潤 草野 圭弘 菊池 丈幸
出版者
一般社団法人 粉体粉末冶金協会
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.640-645, 2005
被引用文献数
2 2

We have successfully prepared Carbon/Fe-Co alloy composites starting from metal organic precursors synthesized by polymerized complex method. The carbon/Fe-Co alloy composites were obtained after the carbonization of the precursors heat-treated at ambient pressure and lower temperatures ranging from 500 to 700&deg;C in N<sub>2</sub> gas flow. Crystalline sizes of both carbon matrix and Fe-Co alloy particles were determined by X-ray diffraction measurements as a function of the Co concentration and the carbonized temperature. The alloy particles were widely dispersed in the carbon matrix and the particle size carbonized at 600&deg;C was about 20&sim;50 nm observed by scanning electron microscopy. The composite carbonized at 600&deg;C had very small coercivity of 14 Oe and exhibited relatively large permeability spectra at frequency of GHz range.
著者
三木 雅道 高田 潤 鈴木 道隆 菊池 丈幸
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

ウッドセラミックス(WCS)は,廃木材を原料とし,フェノール樹脂と複合化して低酸素中での熱処理によって得られる炭素系新素材であり,木質由来の易黒鉛化炭素(多くのマクロ孔を有する)とフェノール樹脂由来の難黒鉛化炭素(ミクロ孔の生成に有効)から構成される複合炭素材料である.ウッドセラミックスの製法には2種類あり,中密度繊維板(MDF)に液状フェノール樹脂を含浸させて後,焼成する「MDF法」と,木粉とフェノール樹脂粉を混合後,室温プレスして後焼成する「粉末法」とがある.本研究は,このウッドセラミックスを有害ガスや水分の吸着材として活用することを目指して,その吸着量の指標となる比表面積を上昇させるには,MDF法がよいのか?木粉法がよいのか?さらに,フェノール樹脂の量は比表面積にどのような影響をおよぼすのか?また,原料に用いる木材の種類はどのようなものがよいのか?を調べるために行なった.得られた成果を列挙すると,以下のようになる.(1)同じフェノール樹脂量の場合,粉末法の方がより高い比表面積を得られることがわかった.すなわち,700℃焼成の場合,フェノール樹脂量を30%と一定にした場合,MDF法では,280m^2・g^<-1>,木粉法では,380m^2^<-1>であった.(2)粉末怯の場合,フェノール樹脂粉の量を増加させるにつれて,比表面積も増大した.ただ,100%フェノール樹脂粉にすると,かえって比表面積は低下した.700℃焼成試料の最高の比表面積は,70%フェノーノレ量の場合で450m^2・g^<-1>であった.(3)原料木材の種類が比表面積におよぼす影響を調べた結果,嵩密度の大きいうばめ樫は比較的低温の600℃ですでに330m^2・g^<-1>を示したが,その後800℃まで昇温してもその値はほとんど変わらなかった.一方,嵩密度の小さい針葉樹(松,杉)や竹,広葉樹のアオダモは,600℃で焼成では200-280m^2^<-1>とうばめ樫より低い値を示すが,700℃焼成では330m^2^<-1>とほぼ同じ値に追いつき,800℃焼成ではうばめ樫を追い越して330-450m^2^<-1>となった.このことから,600℃のような比較的低温焼成で大きな比表面積を得るためには,うばめ樫粉末とフェノール樹脂粉末を用いるのがよく,800℃での焼成ではアオダモや杉,松の粉末とフェノール樹脂の粉末を用いれば,高い比表面積を得ることが出来ると考えられる.