著者
青野 香織 菊沢 康子
出版者
日本消費者教育学会
雑誌
消費者教育 (ISSN:13451855)
巻号頁・発行日
vol.09, pp.131-153, 1989 (Released:2021-09-16)
参考文献数
4

Recently it has become much more difficult for consumers to select pertinent housing, because there is a tendency for housing costs to take up too much of the total budget. Also there are often various problems about the contracts concerning buying, refurnishing or enlarging houses. Moreover there exists an overflow of both accurate and inaccurate information on housing through the mass-media. In order to overcome such difficulties, it is important not only to strengthen the power of authorities to take countermeasures but also to learn the nature of the problems on the side of consumers themselves. From this point of view, the aim of this paper is to point out existing problems of the present situation concerning consumer education of housing by educational institutions. An interview was carried out by the planning staff of a seminar about housing during May in 1987 and November in 1988, and various brochures published by public and private educational institutions were collected. From a survey it can be concluded that there is no such curriculum planned dealing with selection of pertinent housing systematically. This is true even though such public agencies as consumer centers adopt such topics as how to use and maintain electric appliances, and some private institutions open periodical seminars concerning such themes as acquisition of houses, selection of housing appliances and furniture, and interior coordination.
著者
菊沢 康子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.467-472, 1968-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

5~6名の成年女子に、種々の作業位を指示して皿ふき作業を課し、その時の心搏数、筋活動量、エネルギー代謝量より生体負荷を測定した。結果は次の通りである。1. 心搏数は作業位が、肘位、肩位、額位の順に高い位置になるほど増加する。各高さにおいては、作業点が身体前面より10、20、30、40cmと前方に離れるほど心搏数は増加する。しかし、低い高さの場合でも、身体前面より離れすぎた場合は、高い高さで身体に近い位置よりも負荷はむしろ大きくなる。2. 筋活動量は、一般に作業点の高さが高くなるほど増し、身体前方向では各高さとも、身体から離れるほど筋活動量は増加する。特に額の高さにおいて、その増加が著しい。又、肩や額の高さでは、身体前面より40cmの位置で筋活動が急増する。3. エネルギー代謝量は、高さの違いによる差はみられなかったが、各高さにおいては、身体前面よりの距離が大きくなるほど増加する値向がみられた。4. 一般に皿ふき作業のような空中位で行なう作業は作業台上で行なう作業よりやや高い位置で行なう方が、生体負荷が少なく、その高さは約90cmであり、身体より10~20cm離れた位置が最もやり易いことがわかった。
著者
菊沢 康子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.488-497, 1983-08-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16

家庭用学習机・椅子の使用実態と児童の身体計測結果とをもとに, 児童の机・椅子高さの体位への適合状態について分析を試みた.調査対象は, 福山市立の小学校, 中学校, 高校から各1校と国立大学附属の小学校, 中学校, 高校各1校を選び, 全児童にアンケート調査を行うとともに身体計測を行った.ついでJIsの学校家具の高さ基準を適用して各対象児童ごとに求めた机・椅子の適正高さと, 実際に使用しているそれらの高さとの比較を行い, つぎのような知見を得た.1) 小・中学生および高校生を通じて, 机は小学校入学時またはそれ以前に購入したものを使用しているものが2/3以上を占め, さらにそれらは高さ調節装置をもつものがほとんどであった.一方, 椅子については, 小中学生では, その2/3以上が小校入学時またはそれ以前に購入したものを使用していたが, 高校生ではそれに該当するものは過半数を割り, 途中で買い換えをしているものが机の場合よりも多いことが明らかになった.以上の使用実態は, とくに机の場合は身体の発育段階に応じられる高さ調節機構が是非必要であることを示唆している.2) 机および椅子の高さ調節の実態については, 小・中学生および高校生を通じて約3割のものが過去にまったく高さ調節を行った経験をもっていない.また, 経験のあるものでも小・中学校期の体の発達の著しい時期に1年の間に高さ調節を1回も行ったことのないものが約3割認められた.なお, 調節方法については机と椅子の両方を用いて行っているものが最も多く認められた.3) 調査時に使用していた机および椅子の高さと, 各対象者の身体計測値をもとに算出した適正高さとを比較した結果, 小学生では机・椅子とも高さ過大になっているものが極端に多いことおよび中学生・高校生ではそれらの高さが過大・適正・不足にほぼ3分されていることが認められた.4) 差尺の, 適正値に対する過大・適正・不足に対して, 机・椅子の高さとの関連を調べた結果, 差尺が適正であるものは, 中学生・高校生では机・椅子とも適正高さとなっているものが最も多いが, 小学生では机・椅子とも高すぎるものが最も多くなっていることが認められた.つぎに, 差尺が過大のものは, 小学校高学年, 中学生, 高校生の場合は机が高すぎるため差尺が過大となっているものが最も多かったが, 小学校低学年では机だけでなく椅子も高すぎるものが最も多かった.なお差尺が小さすぎるものは全体的に少なかった.5) 以上の使用実態に対して, 市販の家庭用学習机および椅子の供給状況を見るためカタログ調査を行った結果, それらの調節可能最低高さは, 小学校1年生の身体計測値の平均を用いて算出した適正机高さおよび椅子高さにまで下げうるものは見当たらなかった.以上の結果を総合すると, 家庭用学習机・椅子を適正高さで使用することに対する保護者および児童の生徒の認識が十分でないことが明らかでありこの点の啓発の必要性が認められる.一方, 小学校低学年で机・椅子とも適正高さにくらべて高すぎるものを使用しているものが圧倒的に多い原因には, 市販の机・椅子が適正高さにまで下げて調節できないという机・椅子の高さ調節機構にも一因があることが明らかになった.