著者
萬場 光一 牧田 登之 利部 聡
出版者
山口大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

ファブリチウス嚢組織学的所見と電子顕微鏡および免疫組織学的リンパ球の同定1.ファブリチウス嚢の組織は基本的に、最内層の上皮、粘膜固有層と粘膜下組織、その中に特異的に発達したリンパ濾胞および被膜より構成されていた。2.孵化当日の濾胞のサイズを計測すると、濾胞の大きさは小型で約100μm、特に皮質の発達は悪かった。2〜3週令では濾胞は更に大きくなり、約220μmであり、皮質の発達は良好なところと不良なところがあった。6週令では、濾胞は4、および5週令のものより大型化し、約500μmとなり、皮質は発達し、髄質との間にある基底膜の波状化が認められた。7週令では、濾胞は最大に達し、約700μ以上のものも認められた。また皮質の発達も良好であった。9週令では、濾胞の大きさは減少するものも認められ、約400μmに減少したが、皮質にはまだ衰退は認められなかった。11〜12週令になると、濾胞の大きさは約150〜400μmのものが混在し、皮質にも一部菲薄化が見れた。14週令では濾胞の大きさは約300μmで、大小のものが見られ、皮質も菲薄化したものが多くなっていた。以上の結果より、1.濾胞サイズの検討は、ウズラの成長とリンパ濾胞の発達・消退が極めて密接な関係にあることを、このウズラで初めて見い出すことが出来た。2.免疫組織学的リンパ球の同定ではTリンパ球よりもBリンパ球の存在が多数う認められた。しかし、どちらにも分類されないものも観察された。これらの同定については今後の課題であろう。4.透過型電子顕微鏡によるリンパ球の分類を行ったところ、濾胞皮質には中リンパ球が見られ、有糸分裂も多数認められた。髄質には大、小のリンパ球が認められ、ヘマトキシリン好性の顆粒を持つ、所謂顆粒状物質含有細胞も認められた。5.また、走査電顕でも細胞表面の突起の有無により細胞の同定が可能になった。