著者
池辺 克彦 田中 涼一 葛原 由章 末永 泉二 高畠 英伍
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.159-166, 1986-06-30 (Released:2008-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

1.全国11都道府県, 26地点, 76試料の浮遊粒子状物質中のベリリウム, ストロンチウムを分析することにより, バックグラウンド値を求めた.平均値がベリリウム, ストロンチウムでそれぞれ 0.042±0.051ng/m3,6.68±5.21ng/m3であった.2.北九州市における3ヵ年1978-1980年(昭和53-55年)の大気中ベリリウム値の推移をみると, 年ごとに減少の傾向が若干みられたが, 更に長期の調査継続が必要と思われる.3.全国6都府県, 7地点, 11試料を都市型, 産業型, 対照地域に分け, アンダーセン・ハイボリウム・サンプラーを用いて得られた粒度別ベリリウム, ストロンチウムの測定を行ったところ, 2つの分布パターンに大別できた.4.産業型である川崎地区で得られた粒度別ベリリウムとストロンチウムには高い相関がみられた.5.アンダーセン・ハイボリウム・サンプラーにより得られたベリリウム, ストロンチウムの粒度分布は, 今までの報告によるマンガン, 鉄と類似しカドミウム, 鉛とは異なった分布を示した.6.粒度別ストロンチウムとベリリウム比を各地域ごとに比較すると3つの分布パターンに大別された.