著者
正井 博之 菅野 幸一 円谷 悦造 柴田 邦彦 蓑田 泰治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.167-172, 1982-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

酢洗いによる魚の鮮度保持効果を科学的に立証することを目的とし, 魚体を酢洗いした場合のVBN, TMA-N, ヒスタミン, pH, 一般生菌数, 官能検査評点の変化を対照区のそれと比較した.その結果以下の知見が得られた.1) アジを用いた実験より, VBN, TMA-N, 一般生菌数, 官能検査評点の変化からみて, 酢洗いは, 魚の鮮度保持方法としてきわめて有効であることがわかった.2) アジを用いたすべての試験区のうちで, ドレスの酢洗い, 0℃保存区が最も鮮度保持効果が大きかった.3) pHの測定は, アジの腐敗の判定方法として適当ではなかった.4) サバを用いた実験より, 酢洗いはアレルギー様食中毒の原因物質であるヒスタミンの蓄積を著しく抑制することがわかった.これは醸造酢が魚体に付着したヒスタミン生成細菌類の増殖を抑制したためと推定された.