著者
円谷 悦造 太田 美智男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.28-36, 1998-01-15 (Released:2011-09-20)

大腸菌0157による集団食中毒が発生し日本中が大騒ぎとなったのは記憶に新しい。今なお発症が続いているが, 原因となった食品の特定が不明な場合も多く, 人々の不安感をつのらせている。当然のことながら食品産業界ではその汚染防止に最大の努力を傾注している。このような状況の中で, 醸造調味料である食酢に抗菌作用が認められるとの報告は朗報である。研究に携わった著者に, まず大腸菌0157とは何かを解説していただいた。次号では, 引き続き食酢の0157に対する抗菌作用について解説していただく。
著者
正井 博之 菅野 幸一 円谷 悦造 柴田 邦彦 蓑田 泰治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.167-172, 1982-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

酢洗いによる魚の鮮度保持効果を科学的に立証することを目的とし, 魚体を酢洗いした場合のVBN, TMA-N, ヒスタミン, pH, 一般生菌数, 官能検査評点の変化を対照区のそれと比較した.その結果以下の知見が得られた.1) アジを用いた実験より, VBN, TMA-N, 一般生菌数, 官能検査評点の変化からみて, 酢洗いは, 魚の鮮度保持方法としてきわめて有効であることがわかった.2) アジを用いたすべての試験区のうちで, ドレスの酢洗い, 0℃保存区が最も鮮度保持効果が大きかった.3) pHの測定は, アジの腐敗の判定方法として適当ではなかった.4) サバを用いた実験より, 酢洗いはアレルギー様食中毒の原因物質であるヒスタミンの蓄積を著しく抑制することがわかった.これは醸造酢が魚体に付着したヒスタミン生成細菌類の増殖を抑制したためと推定された.
著者
円谷 悦造 浅井 美都 太田 美智男
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.101-106, 1998-04-10
被引用文献数
2 1

食酢を用いた調理における, 食中毒原因菌である<i>Escherichia coli</i> O157: H7 NGY-10, <i>Salmonella</i> Enteritidis IID 604, <i>Vibrio parahaemolyticus</i> IFO 12711および <i>Staphylococcus aureus</i> IFO 3060の挙動を調べ, 食酢が細菌性食中毒の予防に有効か否かを検証した。<br>食酢を調味に使用する調理食品では, 食酢使用量の多い, 酢漬け類, 紅白なます, サワードリンク等では, <i>E. coli</i> O157: H7 NGY-10に対する殺菌効果が, 食酢使用量の比較的少ない, 酢の物類, すし飯等では静菌効果が確認された。食酢を調味には使用しないが, 刺身類や茹で蛸を食酢に短時間浸漬すると, 供試菌株に対する静菌効果ないしは殺菌効果が発現し, 保存性が高まった。炊飯前に, 食味に影響しない量の食酢を添加すると, 冷却後の米飯に供試菌株を接種しても静菌された。冷凍魚介類を食酢希釈液中で解凍すると, その後の穏和な加熱でも, 供試菌株が殺菌され, 保存性が高まった。また, ハンバーグステーキに食酢を適量添加して焼くと, 中心温度が65℃という不十分な加熱でも, 供試菌株が殺菌され, 保存性が高まった。<br>以上の結果より, 調理の場面での食酢の細菌性食中毒防止効果が確認された。