著者
蓮井 敏 濱地 賢太郎
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 社会科学系列 (ISSN:02879719)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.195-202, 2004-03

経済学教育において数学の利用が増加しているいっぽう,経済学部学生の数学の学力にはむしろ低下が見られ,早期に基礎学力の回復と向上のための数学教育が必要である。 そこで,経済学学習に支障をきたす恐れのある数学の学力が十分でない新入生を対象とする入門授業を開講した。入学直後の新入生全員を対象に,数学についてのプレイスメント・テストをおこない,とくに成績下位の学生には受講を強く勧めた。中学高校の教科内容を中心に,努めて経済学からの例題を教材として活用した。また演習と質疑に重点をおくために,大規模人数の講座を避けて複数の講座を開講した。 この授業の効果を3ケ月後に調べると,同一問題についての正解率は着実に向上している。とりわけ成績が下位であった学生において顕著に効果が現れたことからも,早期に学力回復・向上を目的とする数学の講座に効果があると言える。