著者
中田 康隆 速水 将人 蓮井 聡 佐藤 創
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.131, 2020

<p>2018年9月6日, 北海道胆振東部地方を震源とする最大震度7の地震が発生し, 約3200箇所の稠密な林地崩壊が確認され, 森林被害面積は約4300 haに及んだ.現在, 崩壊跡地の林業復旧や森林の公益的機能の回復を目的とした植生の早期回復が求められている. 崩壊跡地の植生の早期回復を図るには, 植物の生育基盤となる表層土壌の現況や動態を把握し, 安定性を正確に評価する必要がある.本研究では厚真町の高丘地区と東和地区の崩壊跡地の斜面を対象に, RTK(Real-Time Kinematic)-UAV(Unmanned Aerial Vehicle)とSfM(Structure-from-Motion)多視点ステレオ写真測量を用いて, 測位精度の実証試験と地形解析を行った. 実証試験の結果, 各検証点と数値表層モデルの平均位置精度は, 水平・垂直方向で0.060 m~0.064 mであることがわかった.2019年4月から10月までの地形変化の解析結果では, 高丘地区は東和地区よりも斜面表層の変化量が多かった. これは, 高丘地区の方が斜面表層を構成する土砂や植生が多く残っていることが要因であると考えられる. また, 崩壊斜面表層の変化の特徴としては, 雨裂に近いほど侵食量が多く, さらに崩壊地辺縁に近いほど侵食量が多いことが示された.</p>