- 著者
-
薗田 光太郎
- 出版者
- 長崎大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2007
認証者が,ユーザに対し,予め設定された音Xを含む音群を聴取させ,Xについて回答させ,照合されれば認証を通過する「聴覚記憶認証」方式を検討した.検討の結果は2つにまとめられる.(1)個人または特定のグループだけが探索することなく即座に反応できるような刺激音として,被認証者への呼びかけ音声と,被認証者本人による自声聴取音声との二種類を試みた.被認証者への呼びかけ音声は発声される単語(苗字+さん)の違いの統制が困難であり現実的ではなかった.自声聴取音は元来発声者本人のみが聴取できるものであり,自ずから本人以外とで親密度が異なると考えられる.実際に本人は自身の自声聴取音声が,外部マイクロホンで採られた音声よりも親密度が高く,他人による評価では低い傾向があった.ただし個人差があり,本人と他人とで評価される親密度に大きな差のない場合もあった.(2)自声聴取音声の取り込みと再提示の方法について検討した.自声聴取音声は,外気を経由して鼓膜を敲く経路に加え,外字や中耳を経由せず頭蓋内を通って内耳にはたらく経路とが合成される.そこで,自成長主音声を外部マイクロホン及び肉伝導マイクロホンの2チャンネルの合成音で作成した.また自成長主音声を提示する場合は,通常のヘッドフォン提示より,骨伝導ヘッドフォンで提示した場合がより自声聴取音声の忠実な再現ができていたようだった.ただしこれにも個人差があった.