著者
薦田登志矢 佐々木 広 近藤 正章 中村 宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.101, pp.33-38, 2008-10-12

近年, LSI のリーク消費電力の増加が問題となっている.本稿では,これに対し,演算器の実行時リークエネルギーを削減することを目的としたコンパイラによる PG 制御手法を検討している.この手法においては,コンパイラによって命令にスリープビットと呼ばれるビットを付加することで演算器内部の演算ユニットに対して細粒度な PG を適用する.ここでは,実行時命令履歴を解析し,この PG 制御手法の潜在的なリーク電力削減効果を見積もった.その結果,理想的なスリープビット付加が達成された場合,演算ユニットのリーク電力を大幅に削減できることが分かった.As semiconductor technology scales down, leakage-power becomes dominant in the total power consumption of LSI chips. For reducing runtime leakage-energy of execution units, we propose a compiler-based control power-gating strategy. In the proposed control starategy, we need to add 1 bit to instructions, which is called the ``sleep bit''. Sleep bit decides whether the execution unit should sleep or not after its use. We estimate the maximum effect of the proposed strategy by analyzing the instruction and cache miss trace information. The result shows that the proposed strategy have great potential to reduce run-time leakage-energy of execution units.
著者
岡本和也 薦田登志矢 中田尚 三輪忍 佐藤洋平 植木浩 林越正紀 清水徹 中村宏
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2012-EMB-26, no.4, pp.1-8, 2012-09-03

マイクロプロセッサを備えたセンサであるスマートセンサは,周囲の状況を周期的にサンプリングし,センシングした結果に簡単な処理を施し,その結果をメインのシステムへ送信する,周期的リアルタイムシステムの一種である.ただし,一般的なリアルタイムシステムとは異なり,入力データのサンプリング周期とデータ送信 (デッドライン) の周期が必ずしも一致するわけではなく,一般には,後者の周期が前者の周期よりもはるかに大きい.そのため,データの入力間隔に合わせてシステムがデータを処理するのではなく,データを一旦バッファに格納しておき,いくつかのデータがバッファに溜まったらシステムを起動して処理を行い,処理が完了したらシステムをシャットダウンする,という制御が可能である.このような制御を行えば, DVFS や動的電源制御などの従来の制御を行う場合よりも,省電力なシステムを実現できると考えられる.本稿では,上述の制御を行うシステムのモデルを提案し,既存の制御手法と比較する.評価の結果,既存手法と比べて消費エネルギを 79.6% 削減できることがわかった.