著者
柚木 秀雄 東 暁史 吉岡 正明 薬師寺 博
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.433-438, 2016 (Released:2016-12-31)
参考文献数
19
被引用文献数
1

ブドウ‘安芸クイーン’への環状はく皮処理が,果皮色ならびにアントシアニン合成関連遺伝子群の発現量に及ぼす影響を調査した.着色開始期(満開35日後)における主枝への環状はく皮処理により,果皮色が対照(無処理)区と比較して著しく向上した.また,環状はく皮処理により,主に7月中下旬~8月上旬におけるアントシアニン合成関連遺伝子群の発現量が対照区と比較して有意に増加し,成熟期間を通した累積発現量も増加した.また,アントシアニン含量と多くのアントシアニン合成関連遺伝子群の累積発現量との間に正の相関が認められた.以上のとおり,環状はく皮処理によって成熟期における果皮のアントシアニン合成関連遺伝子群の累積発現量が増加し,これによりアントシアニン合成が促進することが明らかとなった.また,多くの関連遺伝子の発現量が増加しはじめる着色開始期の環状はく皮処理が‘安芸クイーン’の着色向上に有効であることが示された.
著者
薬師寺 博 上野 俊人 東 暁史 児下 佳子
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.81-86, 2008 (Released:2008-01-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

ブドウ花穂整形の省力・軽労化を図るために,簡便な操作で短時間に花穂整形を可能にする道具(花穂整形器)を考案した.花穂整形器は,指示板中央部の両面に半円形の刃と指輪を取り付けた手のひらサイズの道具である.半円形の刃の間に穂軸を挟み,連結板で左右の支持板を固定した後,本体を上下に動かすことによって所定の支梗を切除できた.開花始期に対照区(ハサミ)と試作器による花穂整形の処理時間を比較した結果,‘安芸クイーン’および‘巨峰’無核栽培用の花穂整形において,作業時間を対照区の24~39%に短縮できた.また,‘巨峰’有核栽培用の花穂整形では作業時間を対照区の約35%に短縮できた.処理後の穂軸に大きな傷跡は残らず,果実品質にも影響は認められなかった.これらの結果から,花穂整形器を利用することによって,ブドウ無核・有核栽培用の花穂整形を慣行通りに行えるとともに省力・軽労化できることを示せた.