著者
藤井 まゆみ
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.125-130, 2019-09-20 (Released:2020-09-20)
参考文献数
12

背景 : ブナ科花粉症の研究は少ない。天城山のブナ林に近い伊東市内でブナ科花粉の豊凶を調べた。さらに天城山での調査とアレルゲン抗体検査も実施した。患者を発見し予防を促したい。方法 : 2001 年から伊東市内でダーラムサンプラーを用い空中樹木花粉を計測した。2018 年 5 月に天城山中にワセリン塗布のスライドグラスを吊るし、空中樹木花粉を計測した。スギ・ヒノキ属花粉症で症状が長引く患者にアレルゲン抗体検査を実施した。結果 : 天城山のブナ属花粉は伊東市に届いていない。伊東市の空中ブナ科花粉はほとんどがコナラ属とクリ・シイ属であった。スギ・ヒノキ属の花粉症で症状が長引く患者の約半数がブナ・コナラ属共に陽性であった。結論 : 伊東市のブナ科花粉症の主な原因はコナラ属の花粉であった。コナラ属、クリ・シイ属の花粉飛散期の予防を促し、ブナ林を散策する季節は注意させたい。また、ブナ目樹木の花粉はバラ科の果実と交差反応があるので、口腔アレルギー症候群に気をつけるよう指導したい。
著者
藤井 まゆみ 岡崎 健二 牧山 清 久松 建一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.51-62, 2012-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
21

【背景・目的】静岡県伊東市におけるスギ・ヒノキ科花粉飛散数を10年間計測した.花粉症の予防・治療に役立てたい.【方法】ダーラム型花粉捕集器を伊東市内3階建ビル屋上に設置し,花粉飛散数を測定した.その結果と気象情報を表計算ソフトMicrosoft Excelを用いて統計処理・解析を行った.【結果】春季の初観測日,飛散開始日,飛散終了日の平均値はそれぞれ1月3日,2月6日,5月12日であった.総花粉飛散数は平均5683個/cm^2であった.前年初冬の花粉飛散数と翌年春季の花粉飛散数は相関がある.春季の花粉飛散数は日々の気象に左右される(大雨や季節外れの大雪で,花粉飛散数は減少する).【結語】地域におけるスギ・ヒノキ科花粉飛散数計測と気象観測から花粉症の予防と治療に役立つ情報を提供できる.