著者
藤井 三晴 栗原 祐史 代田 達夫 八十 篤聡 武井 良子 高橋 浩二
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.567-572, 2015 (Released:2016-03-09)
参考文献数
7

今回,われわれは構音障害を主訴に来院した,巨大な口蓋隆起と両側性の下顎隆起の症例を治療する機会を得たので報告する.症例は60歳男性である.口蓋および下顎舌側臼歯部の骨隆起を放置していたところ徐々に増大し,構音障害を生じたため,当科を受診した.初診時,口蓋正中部に約27×20×14mm,上顎右側臼歯部に約16×11×13mmの骨様硬の膨隆を認め,下顎右側前歯部舌側から臼歯部にかけて約6×7×8mm,下顎左側前歯部から臼歯部にかけて約20×14×13mmの骨様硬の膨隆を認めた.全身麻酔下で,口蓋隆起および下顎隆起除去術を施行した.術前と術後で構音障害について,発語明瞭度検査,文章了解度検査,会話明瞭度検査により評価したところ,術後に改善が確認された.また,患者本人も術後に構音障害の改善を自覚し,満足感を得ていた.なお,創部の治癒経過も良好であった.