著者
五郎丸 剛 佐々木 智也 藤井 利加 一木 孝治 高橋 浩二郎 福長 将仁 江藤 精二
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.59-63, 2008 (Released:2009-09-04)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

Antibiotic-resistant lactic acid bacteria (RLAB) and clostridium butyricum (CB) preparations are often used to improve symptoms resulting from antibiotic-induced changes in intestinal flora.However,though the resistance of these preparations to fluoroquinolones (FQs) has not been sufficiently studied,they are sometimes prescribed in combination with FQs under off-label use.The reason for this is thought to be that all RLAB and CB preparations are considered to be resistant to all antibiotic agents.In this study,we determined the minimal inhibitory concentrations of FQs with respect to strains isolated from five RLAB and one CB preparation using the microdilution method.Furthermore,the susceptibility to FQs of the strains isolated from the RLAB preparations was compared with that of strains isolated from conventional lactic acid preparations.The strains from most of the RLAB preparations and that from the CB preparation were found to be susceptible to FQs.There was also no difference in bacterial resistance between the RLAB and conventional lactic acid preparations.The concurrent use of RLAB and FQs under off-label use should therefore be avoided.
著者
高橋 浩二
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

前年度から引き続きヒスイの穿孔実験と遺跡出土ヒスイ製品に関する調査を実施した。ヒスイの穿孔では、舞錐法に加えて、竹管と銅管の穿孔具による弓錐法を用いた比較実験を行ったところ、およそ3.5時間(銅管)〜6時間(竹管)で深さ0.5cmの穿孔が可能な舞錐法に対して、弓錐法ではそれぞれ約6倍の時間を要すると考えられること、また銅管と比較して竹管の穿孔具では穿孔に約1.7倍の時間を要するが、穿孔具の先端に触材(実験では海砂と金剛砂を使用)が定着しさえすれば竹管でも効率的な穿孔が可能であるという結果を得た。加えて、技術的専門性が高いとされる穿孔過程に関しては、穿孔前の下孔作出と穿孔具軸心の垂直維持が重要であるということがあらためて明らかになった。なお、熟練度によっても穿孔の効率が異なるため、今後さらにデータを蓄積する必要がある。次に、弥生から古墳時代のヒスイ勾玉を中心にして資料の観察を行った。古墳前期以前のものは擦切技法を用いることによって、緑色半透明な色質の部位を効率的に取り出して勾玉を作出するのに対して、古墳中期以降のものは白色不透明化の傾向にあり、擦切技法は急激に衰退していったものと考えられる。また、韓国(新羅)出土のヒスイ勾玉については、新しいものほど白色化の傾向にあり、日本列島における変化との対応関係から、段階的に流通していった可能性が高いという見通しが得られた。
著者
前川 要 千田 嘉博 高橋 浩二 村越 潔 酒井 英男 モリス マーティン 宇野 隆夫
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

研究成果の慨要を下記の3つに分けて記す。(1)遺跡の年代われわれの唐川城跡における3年間の測量・発掘調査の最大の成果は、中世城館ではなく古代環壕集落であることを明らかにしたことである。いままで、中世城館として考えられ、環境集落の研究史では全く採り上げられなかった。それは、第1次調査における土塁の盛り土から出土した土師器碗破片と土塁の上から検出された鍛冶炉跡SX02の埋土基底部から出土した土師器甕口縁部より明らかとなった。遺跡の存続年代は、従来の土器編年観から10世紀半ばから11世紀初頭頃で、年代的には、50年から60年ほどの期間である。(2)規模・機能と集住唐川城跡については、従来略測図のみ公表されていたが、今回トラバース測量を実施して正確な測量図を作成した。その結果、面積が約8万2千m^2、浅い空堀状の遺構,2条の空堀跡と外土塁、竪穴住居跡あるいは鉄生産関連遺構と考えられる窪みを多数確認した。これらのことから、唐川城跡は,二条の空堀と浅い空堀状の遺構によって,北から3つの郭で構成され、そして中心の郭が最も大きく高いことが判明した。また城城内に竪穴住居跡,鍛冶関連遺構が41箇所存在することを確認した。また、小鍛治の関連と想定される小型の窪みは16箇所以上存在する。第2次発掘調査では、2軒の住居跡を検出したが、いずれも新旧2時期存在した。そのことから、41箇所の2倍程度、つまりすくなくとも百軒弱の集落であることが推定できる。井戸は、井戸は北側郭と南側郭に各1基確認した。どちらの井戸も上端幅約10m,深さ約2.5mを測る。第1次調査では、南側郭の井戸を半分断ち割りしたが、湧水層が確認できず溜井戸の可能性がある。また、井戸周辺に竪穴住居跡あるいは,鍛冶関連遺構と推察する円形の窪みを確認した。鉄生産の際の水を溜める遺構の可能性がある。(3)手工業生産今回の大きな成果の一つは、精錬炉が盛り土をした階段状遺構の頂上から2碁見つかったことである。付章の深澤・赤沼論文によると、鯵ヶ沢町杢沢遺跡と同様の竪型炉であり、関連性が考えられる。従来、環壕集落からは、小鍛冶炉を検出した例はあるが、精錬炉を検出したのは初めてである。北側井戸周辺では直径約2m前後の窪みが約7箇存在しており鉄滓が地表面採集できる。さらに南側井戸東側平坦面にも10基以上の窪みがあり、ここでも鉄滓が地面採集できる。これらのことは、少なくとも北郭と南廓では、精錬と小鍛冶を一連の工程で、土木工事を含めて、大規模かつ組織的に行っていたことを示している。また、内面漆塗りの土師器甕が出土したことは、漆容器として使用された可能性がうかがわれ、漆生産工房があったことを推測させる。
著者
横山 美加 道脇 幸博 高橋 浩二 衣松 令恵 平野 薫 道 健一
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.223-226, 2001-07-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
2

The purpose of this study was to clarify the relationship between shapes of the epiglottis and risk of aspiration. The subjects consisted of ten normal volunteers and sixty-eight stroke patients with dysphagia. Using videofluorographic images, shapes of the epiglottis were divided into three groups, straight, curved, and closed type. The appearance ratio of types of epiglottis shape in normal volunteers was not significantly different from those in dysphasic patients. The risk of aspiration was significantly different from the types of epiglottis shape, which was the highest in the patients of curved epiglottis and lowest in those of straight-type epiglottis.The results revealed that the shape of the epiglottis is useful to predict the risk of aspiration.
著者
高橋 浩二 木島 勉 朴 天秀
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

韓国の古墳および遺跡から出土した翡翠勾玉の集成的研究を行った。次に、これを基礎にして、分布の特徴を明らかにするとともに、各地における出現時期や出土数の変化を検討した。また、弥生・古墳時代の翡翠勾玉と比較して、韓国出土のものが日本列島からもたらされた可能性が高いことを指摘した。そして、これらを踏まえ、韓国出土翡翠勾玉の流通過程について3つのパターンを検討した。なお、一部の成果を1冊の報告書にまとめた。
著者
中山 裕司 高橋 浩二 宇山 理紗 平野 薫 深澤 美樹 南雲 正男
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.163-174, 2006-06-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
23
被引用文献数
2

音響特性による嚥下障害診断の重要な手掛かりとなる嚥下音について, その産生部位や部位に対応した音響特性は明らかとされていない.そこで嚥下音の産生部位と音響特性を明らかにする目的で, 画像・音響分析プログラムを新たに構築し, 健常者を対象として嚥下音産生時の造影画像と嚥下音音響信号データの同期解析を行った.対象は健常成人12名で, 各被験者8嚥下ずっ計96嚥下にっいて食塊通過時間の測定, 食塊通過音の識別と出現頻度の解析, および最大ピーク周波数の評価を行った.食塊通過時間は喉頭蓋通過時間 (121.7±92.4msec), 舌根部通過時間 (184.8±70.6msec), 食道入口部通過時間 (342.9±61.1msec) の順で長くなり, 舌根部通過音, 喉頭蓋通過音, 食道入口部通過開始音, 食道入口部通過途中音および食道入口部通過終了音が識別された.このうち喉頭蓋通過音が最も出現頻度が高く (96嚥下中94嚥下), 嚥下ごとの通過音の出現状況では舌根部通過音, 喉頭蓋通過音, 食道入口部通過開始音, 食道入口部通過途中音の4音が出現するパターンが96嚥下中22嚥下 (22.9%) と最も多くみられた.また最大ピーク周波数の平均値の比較では食道入口部通過開始音 (370.7±222.2Hz) が最も高く, 続いて食道入口部通過途中音 (349.1±205.4Hz), 舌根部通過音 (341.2±191.3Hz), 喉頭蓋通過音 (258.6±208.2Hz), 食道入口部通過終了音 (231.2±149.8Hz) の順であった.本研究により嚥下音の産生部位と産生喜附に対応した音響特性が明らかとなった.
著者
山口 麻子 日山 邦枝 上杉 雄大 野末 真司 丸岡 靖史 佐藤 裕二 弘中 祥司 高橋 浩二
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.8-16, 2017-06-30 (Released:2017-07-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

日本の肺炎による死亡者の97.3%,窒息死亡者の85.7%を65歳以上が占め,肺炎の多くは誤嚥の関与ありとする報告がある。今回,病識欠如が認められる入院患者に対して多職種による患者教育,栄養管理,口腔機能管理を行った結果,口腔と食の環境を整える意識の生起,窒息・誤嚥性肺炎の再発予防に成果が得られた症例を経験したので報告する。患者は急性期病棟入院患者,65歳男性,現病歴は双極性感情障害,アルコール性精神病,パン食の可否,誤嚥・窒息のリスク評価を目的として歯科を受診した。全身所見,口腔内所見,摂食嚥下機能,精神状態,服用薬剤を総合的に判断し,口腔衛生管理の意識低下による咀嚼障害,精神状態と薬原性錐体外路症状による摂食嚥下障害と診断した。パン食禁止,誤嚥・窒息ハイリスクとした。食形態は全粥とゼリー菜食,水分はトロミ付とした。患者に一口量の減量,詰め込み食べの禁止を指導,医師と看護師に注意喚起を依頼した。診断から1カ月後,夕食を詰まらせて窒息,2日後に発熱,内科にて誤嚥性肺炎と診断された。精神状態の改善に伴い患者教育,歯科治療に協力的になり自己管理意識の生起,口腔衛生管理,口腔機能の改善を得た。慢性期病棟で療養中の現在,詰め込み食べはあるが窒息・誤嚥性肺炎の再発はない。口腔と食の環境を整える意識の生起,窒息・誤嚥性肺炎の再発予防には多職種による継続的な支援が重要と考える。
著者
高橋 浩二
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.245-254, 2009-12-15 (Released:2012-03-27)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2

昭和大学歯学部口腔リハビリテーション科は摂食・嚥下障害,言語障害,呼吸障害(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)に対応する診療科として平成16年に開設された。当科の平成19年度の外来初診患者459(576)名のうち摂食・嚥下障害を主訴とした患者数は233(238)名で,このうち頭頸部腫瘍術後患者は59(66)名であった。(カッコ内は平成20年度)当科では開設以来,外来診療のみならず摂食・嚥下障害に対する入院加療を行っており,今回のシンポジウムでは経口摂取不能あるいは困難と他院で診断され,当科で入院加療を行った頭頸部癌術後嚥下障害5症例を紹介するとともに摂食・嚥下リハビリテーションにおける当科での取り組みについて述べた。本項では頭頸部癌治療後の摂食・嚥下障害の特徴とその対応も合わせて報告した。
著者
高田 嘉尚 高橋 浩二 中山 裕司 宇山 理紗 平野 薫 深澤 美樹 南雲 正男
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.68-74, 2006-03-31 (Released:2012-08-27)
参考文献数
11

本研究は嚥下音と呼気音の音響特性を利用して嚥下障害を客観的に鑑別することを目的として企画されたものである.対象は嚥下障害を有する頭頚部腫瘍患者26名である.VF検査中嚥下音ならびに嚥下直後に意識的に産生した呼気音をわれわれの方法によって採取し, 嚥下と呼気産生時の動態のVF画像とともにデジタルビデオレコーダーに記録した.嚥下音と呼気音の音響信号はわれわれの音響解析コンピュータシステムによって分析を行い, 嚥下音については持続時間を計測し, 呼気音については1/3オクターブバンド分析により, 中心周波数63Hzから200Hzまでの6帯域の平均補正音圧レベルを求めた.嚥下音と嚥下後に意識的に産生した呼気音92サンプルずつについて, これらの分析が行われ, VF所見との比較が行われた.その結果, 嚥下音の持続時間では, Abnorma1群 (誤嚥あるいは喉頭侵入のVF所見を示した群) はSafety群 (前記のVF所見のない群) に比べ, 持続時間が延長する傾向がみられ, 呼気音の補正音圧レベルでは, Abnorma1群はSafety群に比べ, 音圧レベルが大きい傾向を示した.次に嚥下障害を鑑別するために嚥下音の音響信号の持続時間の臨界値として0.88秒を設定し, 同様に呼気音の音響信号の補正音圧レベルの臨界値として17.2dBを設定した.嚥下音と呼気音の分析値の両者がともにこれらの臨界値を超えた場合, そのときの嚥下は障害があると評価した.これらの評価とVF所見との判定一致率は感度82.6% (38/46), 特異度100% (46/46), 陽性反応的中度100% (38/38), 陰性反応的中度85.2% (46/54), 判定-致率91.3% (84/92) となった.以上の結果より嚥下音の持続時間と呼気音の補正音圧レベルは嚥下障害を検出するために利用できることが示唆された.
著者
藤井 三晴 栗原 祐史 代田 達夫 八十 篤聡 武井 良子 高橋 浩二
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.567-572, 2015 (Released:2016-03-09)
参考文献数
7

今回,われわれは構音障害を主訴に来院した,巨大な口蓋隆起と両側性の下顎隆起の症例を治療する機会を得たので報告する.症例は60歳男性である.口蓋および下顎舌側臼歯部の骨隆起を放置していたところ徐々に増大し,構音障害を生じたため,当科を受診した.初診時,口蓋正中部に約27×20×14mm,上顎右側臼歯部に約16×11×13mmの骨様硬の膨隆を認め,下顎右側前歯部舌側から臼歯部にかけて約6×7×8mm,下顎左側前歯部から臼歯部にかけて約20×14×13mmの骨様硬の膨隆を認めた.全身麻酔下で,口蓋隆起および下顎隆起除去術を施行した.術前と術後で構音障害について,発語明瞭度検査,文章了解度検査,会話明瞭度検査により評価したところ,術後に改善が確認された.また,患者本人も術後に構音障害の改善を自覚し,満足感を得ていた.なお,創部の治癒経過も良好であった.
著者
王 国民 高橋 浩二 和久本 雅彦 道 健一
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.37-55, 1991

声門破裂音音声の音響特性を評価することを目的として健常音声(10名)/ta/,/ka/および/ta/,/ka/の声門破裂音(14名)についてサウンドスペクトロラム(以下SG)およびコンピューターを用いた音声分析システムにより物理評価量を求めた後,言語治療士による聴覚心理実験を行い次の結論を得た。1.SGによる分析では/ta/,/ka/ともに声門破裂音ではVOT(voice onset time)が短い傾向が認められ,声門破裂音のおよそ1/3の音声サンプルにおいてスペクトログラムパターン上で後続母音のフォルマント成分が消えた後に摩擦子音に類似した不規則なfillの出現が認められた。2.コンピューターを用いた音声分析の結果では1)スペクトル包絡上に反映された子音部の周波数特性を数量化したSES(spectral envelope score)による比較では,-5dB以上の値を示した音声サンプルは正常構音/ta/では60%であったのに対し,/ta/,/ka/の声門破裂音,正常構音/ka/では17~37%と少なかった。2)VOTによる比較では,正常構音/ka/では全ての音声サンプルが20msec以上の値(平均44・61nsec)を示したのに対し,正常構音/ta/および/ta/,/ka/の声門破裂音では20msec以上の値を示したのは23~41%のサンフ.ルであり平均17,2~24.8msecであった。3)第2,第3フォルマントの選移量の差であるΔF2-ΔF3による比較では,正常構音/ta/では63%が200Hz以上の値を示したのに対し,/ta/,/ka/の声門破裂音,正常構音/ka/で200Hz以上の値を示したのは13~19%であった。3.声門破裂音音声に特徴的な「しめつけるような」歪みと破裂の明瞭さに着目した0対比較法による聴覚心理実験では,いずれの評価も有意であることが明らかなり,「しめつけるような」歪みの程度とVOTの間で負の相関が認められた。
著者
道 健一 山下 夕香里 片岡 竜太 中村 篤 高橋 浩二 斎藤 健一 IMAI Satoko 山下 夕香理 今井 智子
出版者
昭和大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

臨床応用可能な開鼻声の定量的評価法を確立するために、口蓋裂あるいは先天性鼻咽腔閉鎖不全症による開鼻声患者18例と健常人17例の発声した母音/i/にケプストラム分析を行い、得られたスペクトルエンベロ-プに1/3オクタ-ブ分析を加え、開鼻声の周波数特性を求めた。次に20人の聴取者による開鼻声の聴覚心理実験を行い、得られた主観評価量と周波数特性を表わす物理量の関連を検討したところ次の結果が得られた。1 健常音声と比較した開鼻声のスペクトルエンベロ-プの特徴は第1、第2フォルマント間のレベルの上昇と、第2、第3フォルマントを含む帯域のレベルの低下であった。2 開鼻声の聴覚心理実験を行い得られた5段階評価値を因子分析したところ、開鼻声を表現する2次元心理空間上に2つの因子が存在し、第1因子は全聴取者に共通した聴覚心理上の因子であり、第2因子は聴取者間の個人差を表わす因子であると考えられた。そのうち第1因子を主観評価量とした。3 開鼻声の主観評価量とスペクトルエンベロ-プの1/3オクタ-ブ分析から得られた物理量の相関を検討したところ、第1フォルマントの含まれる帯域から2/3〜4/3オクタ-ブ帯域の平均レベル(物理評価量L1)および9/3〜11/3オクタ-ブの帯域の平均レベル(物理評価量L2)と主観評価量に高い相関が認められた。
著者
高橋 浩二郎 柳原 延章 豊平 由美子
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

交感神経系のモデル実験である培養ウシ副腎髄質細胞を用いて植物由来化合物のカテコールアミン(CA)動態について検討した。その結果、蜜柑の果皮成分のノビレチン、タバコの葉の成分ニコチン及び大豆成分のゲニステインは、それぞれCA生合成-分泌や再取り込みに影響を及ぼすことが明らかとなった。これらの化合物は、日常生活において食物や嗜好品として摂取しており、その薬理学的な影響については今後注意深く見守らなければならない。