著者
徳永 智史 堀田 和司 藤井 啓介 岩井 浩一 松田 智行 藤田 好彦 若山 修一 大藏 倫博
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.73-79, 2020-07-22 (Released:2020-08-04)
参考文献数
36
被引用文献数
3

【目的】地域在住高齢者におけるアパシーの身体活動量に及ぼす影響を明らかにする。【対象】2017年7月に茨城県笠間市で行われた長寿健診に参加した地域在住高齢者328名とした。【方法】アパシー評価としてやる気スコア,身体活動量評価としてPhysical Activity Scale for the Elderly,抑うつ評価としてGeriatric Depression Scale 短縮版(GDS‐15),ソーシャルネットワーク評価としてLubben Social Network Scale 短縮版(LSNS‐6),身体機能評価として握力,5回椅子立ち上がり,開眼片足立ち,Timed up and go test,長座体前屈,認知機能評価としてファイブ・コグ,Trail Making Test(TMT)を実施した。【結果】アパシーのみ呈した者の割合は23.2%,抑うつのみ呈した者は12.2%,アパシーと抑うつを合併していた者は15.2%であった。重回帰分析の結果では,身体活動量に対してやる気スコアやLSNS‐6,長座体前屈,ファイブ・コグ,TMT が有意に影響を及ぼしていた。GDS‐15の有意な影響は認められなかった。【結語】アパシーと抑うつは独立して存在し,身体活動量には社会交流や身体機能,認知機能などの多要因が影響しているが,アパシーもその一つである可能性が示された。
著者
加賀山 俊平 藤井 啓介 甲斐 博代 角 明子
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.16-22, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
18

目的:本研究は介護老人保健施設入所者の転帰先と日常生活動作能力の関連性を明らかにすることが目的である.対象と方法:対象者は介護老人保健施設に初回入退所した者635名とした.除外基準に該当した者,計155名を除外し,分析対象者は480名となった.またカルテおよび介護記録から入所時のデータとして,性,年齢,入所日,世帯構成,身長,体重,原因疾患および既往歴,転帰先ニーズ,退所時のデータとして,退所日,入所日数,要介護度,食事形態,日常生活動作能力を収集した.結果:在宅群(205名)は施設群(275名)と比べ,有意に年齢が若く,入所日数が短く,要介護度1の割合が高く,要介護度4および5の割合が低く,転帰先ニーズが在宅である割合が高かった.また,在宅群は有意に原因疾患および既往歴に認知症を有する割合が低く,食形態が米飯である割合が高かった.在宅群と施設群において有意差を認めたBIを独立変数に投入し,従属変数に転帰先を投入したロジスティック回帰分析(変数増加法)の結果,BIの“歩行(0点を基準とした際に10点と15点において有意にオッズ比が高く,10点を基準とした際に15点に有意差は認めなかった)"と“排便コントロール(0点と5点をそれぞれ基準にした際に10点において有意にオッズ比が高かった)"の2つの項目が有意に抽出された.結論:歩行能力として,BIにおける15点の自立ではなく,10点の見守り又はわずかな介助を要する一部介助での移動手段の獲得を目指すことが在宅復帰に繋がり,排便コントロールとしては,失禁がなく自身で排便コントロールが行える自立を目指すことが在宅復帰に繋がる可能性が明らかとなった.