著者
中野 聡子 奥野 純子 深作 貴子 堀田 和司 藪下 典子 根本 みゆき 田中 喜代次 柳 久子
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.511-518, 2015-10-20 (Released:2015-10-20)
参考文献数
36
被引用文献数
7

【目的】介護予防教室参加者の運動継続にかかわる要因を明らかにし,効果的に支援する方法を示すこと。【方法】介護予防教室に参加した65 歳以上の高齢者309 名を対象とし,基本属性,身体機能,社会参加,心理的要因の質問紙調査と,5 m 歩行等の身体機能を測定した。統計学的検討は運動状況別に3 群に分類し比較した。さらに運動継続の有無を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。【結果】運動状況による3 群間の比較では社会参加等で有意差が見られた。運動継続には運動の生活パターンへの組みこみ(OR: 10.04, 95% CI: 3.36–30.03),何回か休んでも再開する自信(以下,Re-SE)(OR: 2.36, 95% CI: 1.26–4.42)等が関連していた。【結論】介護予防教室参加者が運動を継続するためには,運動を生活パターンに組みこむような行動プランの提示と,Re-SE を高めることが重要であることが明らかとなった。
著者
徳永 智史 堀田 和司 藤井 啓介 岩井 浩一 松田 智行 藤田 好彦 若山 修一 大藏 倫博
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.73-79, 2020-07-22 (Released:2020-08-04)
参考文献数
36
被引用文献数
3

【目的】地域在住高齢者におけるアパシーの身体活動量に及ぼす影響を明らかにする。【対象】2017年7月に茨城県笠間市で行われた長寿健診に参加した地域在住高齢者328名とした。【方法】アパシー評価としてやる気スコア,身体活動量評価としてPhysical Activity Scale for the Elderly,抑うつ評価としてGeriatric Depression Scale 短縮版(GDS‐15),ソーシャルネットワーク評価としてLubben Social Network Scale 短縮版(LSNS‐6),身体機能評価として握力,5回椅子立ち上がり,開眼片足立ち,Timed up and go test,長座体前屈,認知機能評価としてファイブ・コグ,Trail Making Test(TMT)を実施した。【結果】アパシーのみ呈した者の割合は23.2%,抑うつのみ呈した者は12.2%,アパシーと抑うつを合併していた者は15.2%であった。重回帰分析の結果では,身体活動量に対してやる気スコアやLSNS‐6,長座体前屈,ファイブ・コグ,TMT が有意に影響を及ぼしていた。GDS‐15の有意な影響は認められなかった。【結語】アパシーと抑うつは独立して存在し,身体活動量には社会交流や身体機能,認知機能などの多要因が影響しているが,アパシーもその一つである可能性が示された。
著者
角田 憲治 三ッ石 泰大 辻 大士 尹 智暎 村木 敏明 堀田 和司 大藏 倫博
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.516-523, 2011 (Released:2012-02-09)
参考文献数
29
被引用文献数
5 8

目的:高齢者の身体活動量に関連する重要な要因として,外出形態,抑うつ度,ソーシャルネットワークに焦点を当て,これらの要因と余暇活動量,家庭内活動量,仕事関連活動量との関連性について明らかにすることを目的とした.方法:茨城県笠間市の住民基本台帳を用いて,65歳から85歳の高齢者2,100名を無作為抽出し,有効回答の得られた340名(有効回答率16.2%)を分析対象とした.身体活動量の評価には,Physical Activity Scale for the Elderly,抑うつ度の評価にはGeriatric Depression Scale(GDS),ソーシャルネットワークの評価には,Lubben Social Network Scale(LSNS)を用いた.主要な分析には,重回帰分析(強制投入法)を用いた.目的変数には各身体活動量を,説明変数には仮説として身体活動量と関連すると想定した項目および基本属性に関する項目を設定した.結果:重回帰分析の結果,余暇活動量は,自転車利用頻度(β=0.17),LSNS得点(β=0.17)と有意に関連した.家庭内活動量はLSNS得点(β=0.21)と関連した.仕事関連活動量は乗物利用頻度(β=0.25)と関連した.総活動量は,自転車利用頻度(β=0.10),乗物利用頻度(β=0.23),GDS得点(β=-0.16),LSNS得点(β=0.23)と関連した.結論:本研究では自転車や乗物の利用頻度が,余暇活動量および仕事関連活動量を反映することを示した.また,ソーシャルネットワークは,余暇活動量と家庭内活動量の両方と関連する重要な因子であることを明らかとした.
著者
堀田 和司 奥野 純子 戸村 成男 柳 久子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.863-874, 2009 (Released:2014-06-13)
参考文献数
45
被引用文献数
2

目的 介護職員の「仕事へのモチベーション」は,施設利用者の生活を左右する介護の質への影響も大きく,質の高い介護が求められる施設にとっては,離職問題だけでなく重要な課題となる。そこで本研究では,介護職員の「仕事へのモチベーション」が,どのような要因と関連し,影響を受けているのかについて検証し,「仕事へのモチベーション」を低下させない職場環境を作るため,どのようなアプローチをするべきかを明らかにすることを目的とする。方法 茨城県に所在する介護老人保健施設25に常勤で勤務する各専門職993人(うち介護職員607人)を対象に質問紙調査を実施。「仕事へのモチベーション」と「仕事の有能感」,「仕事への満足感」,「専門職アイデンティティ」,「連携に関する意識」,「専門職イメージ」それぞれの要因との関連について,因果モデルを想定し,構造方程式モデリングによるパス解析を行った。結果 「仕事へのモチベーション」に対して,仕事の有能感(β=.176)専門職アイデンティティ(β=.352)介護職イメージ(β=.245)の直接効果が認められ,「仕事の有能感」を媒介変数として,連携に関する意識(β=.164)が,「専門職アイデンティティ」を媒介変数として,仕事への満足感(β=.288)と仕事の有能感(β=.332)が,「仕事の有能感」と「専門職アイデンティティ」を媒介変数として,介護職イメージ(β=.188)の,それぞれから,「仕事へのモチベーション」に対する間接効果が認められた。結論 「仕事へのモチベーション」を高めるためには,介護職員が,介護職の仕事に肯定的なイメージを持ち,有能感を持って仕事に望むことや,専門職としてのアイデンティティを確立することが重要となる。そのために,仕事への満足感を得られると共に,看護職・リハビリ職といった他職種を肯定的なイメージで捕らえ,他職種と良好な連携の状態を作ることが出来る環境を整備することが必要である。