著者
藤井 秀登
出版者
明治大学大学院
雑誌
商学研究論集 (ISSN:1340914X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.177-203, 1997-02-28

現在、日本の主要な都市には、地下鉄が運転されている。設立された順にならべると、東京、大阪、名古屋、神戸、札幌、横浜、京都、福岡そして仙台である。東京に地下鉄が開業してから仙台に地下鉄が開業するまで、六十年の開きがある。経営形態に着目すると、東京に都営と営団が併存することを除き、日本の全ての地下鉄は市営となっていることが指摘できる。東京に異なる経営形態が並立し、それ以外の都市では市営となっていることの契機は、日本で初の地下鉄である早川徳次の東京地下鉄道株式会社と、日本で初の市営地下鉄である関一(せき はじめ)の大阪地下鉄とを比較・検討することによって、明確にできると思われる。東京に日本で始めての地下鉄が開業したのは、1927(昭和2)年であった。
著者
藤井 秀登
出版者
明治大学大学院
雑誌
商学研究論集 (ISSN:1340914X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.185-206, 1996-09-10

現代の都市交通機関として、地下鉄ほど確実な「移動」を保証するものはない。なぜなら、都市部においては、専用通路部分を持つ鉄道、特に地下鉄は定時性という点で、路面交通機関の機能を遥かにしのいでいるからである。これに対して、私的交通機関の発達に伴い、道路交通の混雑が顕著になってきたことが、私的交通機関・公共交通機関の両者に、交通の本来の目的である「移動」の阻害という現象を生じさせている。ところで、こうした都市部の交通機関は、「都市」と不可分の関係にある。よって、都市交通を検討する場合、まず、その母体である「都市」から考察していかなくてはならない。そもそも現在の日本の「都市」の原型は、明治時代に形成されたものである。