著者
藤代 将人
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.125-137, 2017-03-15

神奈川県県央地域にはエスニック関連施設が集積しているが、郊外におけるこのような地域を何と呼べばよいのか。本研究では、リ・ウェイ(Li.Wei)の概念に示唆を受け(Li 2011)、神奈川県県央地域全体を一種の「エスノサバーブ」と仮定する。エスノサバーブはいくつかのマルチエスニック・ネイバーフッドから構成されると筆者は考えるが(Alba1997:883-903)、本論では、マルチエスニック・ネイバーフッドの一つである大和市M 地区をフィールドに、「結節点」としてのエスニック施設を対象として、そこに形成されるマルチエスニックな社会的世界の一端と、その世界を支える地域のエスニシティ経験に焦点を合わせ報告する。本論ではいくつかの「結節点」の社会的世界について描くが、外国籍住民にとって、「結節点」としてのエスニック施設は母語で交流でき、必要な情報が得られ、日本でのストレスや家族の問題について相談できる場所でもあり、コミュニティセンターとしての役割を担っている。M 地区の場合の特徴は、「マルチエスニック性の高さ」である。また、マルチエスニック性と並んで「寛容性」の高さもあげられる。それはこの地区の周囲に難民定住促進センターや厚木基地の存在があったことも大きい。それが地域としてのエスニック経験を積み重ね、そのことが異質性に対する「寛容性」を生み出したと筆者は考える。