- 著者
-
小森田 龍生
- 出版者
- 専修大学人間科学学会
- 雑誌
- 専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, pp.99-107, 2021-03-23
本稿では、日本における性的少数者(ゲイ・バイセクシュアル男性)のメンタルヘルス悪化のメカニズムを要因間の関連性と、時間の経過に伴う影響力の変化に注目して明らかにすることを目的として実施した調査結果の一部を報告する。調査対象は、日本国内に居住する20~60歳までのゲイ・バイセクシュアル男性、および異性愛男性である(共に学生、および外国籍の者を除く)。調査の実施方法は民間調査会社に登録するアンケートモニターを対象としたインターネット調査である。回収数はゲイ・バイセクシュアル男性1,684件、異性愛男性1,854件であり、データクリーニング後のサンプルサイズはゲイ・バイセクシュアル男性1,668件、異性愛男性1,851件であった。回答者の平均年齢は、ゲイ・バイセクシュアル男性41.69歳、異性愛男性47.26歳であった。メンタルヘルスについて、K6尺度をもちいてたずねた結果、ゲイ・バイセクシュアル男性の平均値は異性愛男性に比べて高く、メンタルヘルスの状態が悪い傾向にあることが確認された。また、メンタルヘルスに影響を与える要因のひとつとして想定しているいじめ・ハラスメント被害経験についてもゲイ・バイセクシュアル男性において経験割合が高く、クロス集計の結果からも2つの変数の関連性が示唆された。