著者
桐山 裕二 金沢 健雅 濱島 吉男 阿部 篤朗 橋本 かおり 藤原 寛樹 秋山 篤子 山井 庸介 清水 豊 本村 一郎 一和多 俊男 平岡 仁志 長尾 光修
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.338-343, 1999

症例は21歳, 男性。20歳時よりうつ病, 心身症で某医にて加療歴あり。深夜に泥酔状態で帰宅し, 酸素スプレーと誤って家庭用殺虫剤を吸入した。翌朝になって発熱, 咳嗽, 血痰, 呼吸困難が出現し近医で胸部異常影を指摘され, 当科紹介入院。入院時の胸部X線では両側S^6主体の肺胞性浸潤影が認められ, 発症経過からリポイド肺炎が考えられたため, パルス療法と抗生剤による治療を施行した。全経過中に胸水貯留像や結節状陰影など多彩なX線像を呈したが, ステロイド療法継続により線維化像をみることなく改善した。本症例では組織診断は得られなかったが, 気管支洗浄液のガスクロマトグラフ質量分析の結果において, 誤って吸入したとされる殺虫剤成分に含まれるケロシンと同一成分が気管支洗浄液中に検出されたことより外因性リポイド肺炎が強く疑われた。