著者
一和多 俊男
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.158-162, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1

呼吸不全とは,呼吸器系障害により低酸素血症(PaO2≦60 Torr)をきたし,また,時に高二酸化炭素血症(PaCO2>45 Torr)をともなう状態で,生体が正常な機能を営み得ない状態である.一方,呼吸不全を広い概念でとらえると,呼吸器障害による動脈血液ガスの異常に加えて,循環障害,酸素輸送障害や末梢組織での酸素利用障害による組織低酸素も含まれる.呼吸不全は,発症形式により急性呼吸不全・慢性呼吸不全・慢性呼吸不全の急性増悪に分類される.また,病態によりⅠ型呼吸不全(低酸素性呼吸不全;PaO2≦60 Torr,PaCO2≦45 Torr)Ⅱ型呼吸不全(換気不全;PaO2≦60 Torr,PaCO2>45 Torr)に分類され,さらにⅡ型呼吸不全は,肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)の正常な群と開大する群に分類される.一般にⅠ型呼吸不全は,Ⅱ型呼吸不全より予後不良である.
著者
一和多 俊男
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.76-82, 2014-04-30 (Released:2015-11-13)

3学会合同呼吸療法認定士制度は,日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会の3学会により設立され,1996年に第1回認定試験が実施された.本制度が発足して18年経過したが,呼吸療法に関連する医療従事者の育成に果たしてきた功績は非常に大きい.3学会合同呼吸療法認定士の業務は個々の国家資格により規定されているため,呼吸療法チームによる医療が必要であり,強いリーダーシップを発揮して,しっかりとしたマネージメントができる呼吸器専門医師が育成されれば,より有益な医療を患者に提供することが可能である.
著者
一和多 俊男
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.113-119, 2010-10-31 (Released:2016-09-01)
参考文献数
7

健常者5名とCOPD患者8名に対して,サプリメント無摂取,分岐鎖アミノ酸(BCAA)を含む粉末アミノバリュー®18 g(BCAA 8 mg)と粉末ポカリスエット®13.2 g(51.6 kcal)を運動30分前に投与した.BCAAの投与により健常者は3/5名,COPDは3/8名で乳酸濃度が低下した.COPD患者の8名中7名は血清BCAA濃度が運動前より後に高く,BCAAの吸収が健常者より遅いことが示唆された.
著者
桐山 裕二 金沢 健雅 濱島 吉男 阿部 篤朗 橋本 かおり 藤原 寛樹 秋山 篤子 山井 庸介 清水 豊 本村 一郎 一和多 俊男 平岡 仁志 長尾 光修
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.338-343, 1999

症例は21歳, 男性。20歳時よりうつ病, 心身症で某医にて加療歴あり。深夜に泥酔状態で帰宅し, 酸素スプレーと誤って家庭用殺虫剤を吸入した。翌朝になって発熱, 咳嗽, 血痰, 呼吸困難が出現し近医で胸部異常影を指摘され, 当科紹介入院。入院時の胸部X線では両側S^6主体の肺胞性浸潤影が認められ, 発症経過からリポイド肺炎が考えられたため, パルス療法と抗生剤による治療を施行した。全経過中に胸水貯留像や結節状陰影など多彩なX線像を呈したが, ステロイド療法継続により線維化像をみることなく改善した。本症例では組織診断は得られなかったが, 気管支洗浄液のガスクロマトグラフ質量分析の結果において, 誤って吸入したとされる殺虫剤成分に含まれるケロシンと同一成分が気管支洗浄液中に検出されたことより外因性リポイド肺炎が強く疑われた。