著者
藤原 省三 佐藤 博 野口 琢矢 長門 仁 尾崎 任昭 菊池 隆一 野口 剛 内田 雄三
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.146-150, 2002-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
13

症例は69歳,男性.脳梗塞後遺症のため胃瘻が造設されていた.出血性胃潰瘍のため緊急入院.H2受容体拮抗剤により一時は軽快したが,2カ月後,潰瘍は一再発した.その後3カ月間の治療にて潰瘍は瘢痕化しなかったため,オメプラゾール坐剤を調製し投与した.投与中の24時間胃内pHモニタリングでは酸分泌抑制効果はほぼ完全であり,潰瘍は速やかに瘢痕化した.嚥下困難な患者の難治性胃潰瘍に対し,オメプラゾール坐剤の投与は極めて有効な治療法であると考えられた.
著者
加来 秀彰 藤原 省三 阿南 勝宏 赤木 由人
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.943-947, 2019 (Released:2019-11-30)
参考文献数
13

ポリスチレンスルホン酸カルシウム(calcium polystyrene sulfonate:以下CPS)の重篤な合併症として便秘等に起因すると考えられる腸管穿孔,腸管壊死がある.慢性腎臓病,高カリウム血症に対してCPSを内服中にS状結腸穿孔,汎発性腹膜炎をきたした2症例を経験した.症例1は87歳,女性.腹部膨満感,下腹部痛を主訴に来院.汎発性腹膜炎の診断でHartmann手術を施行した.S状結腸に潰瘍を認め,一部は穿孔し,潰瘍底にはCPS結晶を認めた.術後に敗血症,DICを併発し集学的治療を要したが,軽快し自宅退院した.症例2は86歳,女性.下腹部痛,嘔吐を主訴に受診.汎発性腹膜炎の診断でHartmann手術を行った.S状結腸の穿孔部にはCPS結晶を認めた.腹膜炎は制御できたが,術後ARDSを発症し呼吸不全の進行により死亡した.CPS投与の際には排便コントロールに留意する必要がある.