著者
藤原 耕作
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.107_a-95_a, 1994-12-10
著者
藤原 耕作
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.108_a-97_a, 1997-07-11

坂口安吾の「ロッテナム美人術」は『安吾捕物帖』の一篇として発表されているのであるが、他の作品とはかなり性質を異にしている。たとえば他の作品はかならず探偵が謎を解き何らかの形でそれが実証されるという形をとっているのに対し、この作品では探偵の推理は仮説の域を出ず、従って犯人を捕らえることが出来ない。また、その結果探偵は被害者を救うことが出来ず、作品は悲劇的な結末を迎えるのであるが、そこにかなり強引な形で「救い」が描かれる。こうした奇妙な現象はどのように説明できるのであろうか。実はいかに「確証」をあげるか、「救い」をどのようにつけるか、というような問題はこの時期の安吾文学全般に通じるものである。ここでは、同時期に書かれた『安吾行状日記』『安吾史譚』などにおいてそれを確認し、そうした問題の根源に競輪事件があることを指摘している。競輪事件を震源とする波が同時期の作品に同じような偏差を与え、それが『安吾捕物帖』のなかで「ロッテナム美人術」を浮き上がらせているのである。
著者
藤原 耕作
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.131_a-119_a, 1995-06-23