著者
藤岡 純一
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.45-55, 2012-03

Respect for human rights is one of the cornerstones of Sweden’s migration policy. Human rights apply throughout the world, irrespective of country, culture and association.Sweden has been accepting a large number of immigrants including refugees according to this basic idea. Different measures such as Swedish education, compulsory and upper secondary school, vocational training for adults and employment promotion have been taken for many years. Today about 14% of Swedish population is foreign-born.However, problems arise in educational achievements, employment rates, income they gain etc.This paper describes the status quo and problems of Sweden’s migration policy. New measures against the problems are also mentioned. So far there have been few papers in Japan on Swedish migration policy.Achieving a society which is characterized by mutual respect for differences within the limits set by the fundamental democratic values should be quite important for Japanese society in the future.
著者
藤岡 純一
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 = The journal of the Department of Social Welfare, Kansai University of Social Welfare (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-14, 2014-09-20

本稿は,生活権を基軸にすえて,現代におけるスウェーデンの福祉財政の特徴を究明することにある.スウェーデンは世界で有数の福祉国家として知られ,GDP に占める社会支出が最大の国のひとつである.近年,フランスやデンマークに後塵を拝しているが,依然として高い水準にあり,財政の効率化を進めながらも,社会支出の額は増加し,福祉国家を堅持している. 財政は,基本的人権のうち社会権,すなわち,生存権,教育権,労働権,環境権を,人々の生活権として保障する経済的基盤である.本稿では,福祉財政ないし生活権財政を,財政学,社会福祉学,そして憲法上の規定から位置づけている.そして福祉を人々のwell-being として広く捕らえている. OECD によると,スウェーデンは幸福度(well-being)の高い国で,平等度も世界で最も高い国に属する.財政はそのすべての要因ではないが,重要な要素と位置づけられる.近年,社会的に排除されてきた人々を,コミューン(市)が協同組合やNPO を共同で包摂する取り組みが進められている.現代の財政を研究するとき,生活権を基軸にすえるとともに,社会的包摂の観点も不可欠になっている.
著者
藤岡 純一
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
海外社会保障研究 (ISSN:13443062)
巻号頁・発行日
no.184, pp.4-15, 2013-09

スウェーデンにおいて家族などのインフォーマル介護が見直されてきたのは1990年代であった。1998年、コミューン(市)の介護者支援を奨励する規程が社会サービス法に追加された。介護者協会などのボランティア組織と協働しながら、国の補助金によって介護者支援が促進されてきた。ホーム(家庭における)レスパイトやショートステイ、介護者出会いセンターやグループ活動などである。2009年7月に、社会サービス法のその条項は、奨励からコミューンの義務に変わった。しかし、問題点も残されている。障害または長期疾病の子どもを介護する者への支援でコミューンの取り組みが遅れている。週11時間以上介護・援助・支援をしている「非常に濃密な介護者」は、健康、就労、生活の質において問題が残っている。介護者支援について知らない介護者がまだ多い。これらの問題点を解決するとともに、非常に濃密な介護者には、要介護者への社会サービスをさらに充実することが、負担の軽減に繋がる。
著者
藤岡 純一
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.95-103, 2010 (Released:2018-10-01)

1990年代に家族・親族介護の重要性が再認識され、社会サービス法の奨励規定と国の補助金によって、コミューンの家族・ 親族介護者の支援が進められてきた。そして、2009年7月1日に新しい条項が施行され、家族・ 親族介護者に対する支援はコミューンの義務となった。他方、この支援にはコミューンとボランティア・非営利組織との協働の取り組みが各地で発展している。本論文では、社会サービスの歴史の中で家族・親族介護者支援を位置づけるとともに、ボランティア組織との協働のあり方に注日した。