著者
藤崎 樹 本田 秀仁 植田 一博
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.46, 2017 (Released:2017-10-16)

近年、集合知を個人内で擬似的に生み出す手法が提案されている。ある問題に対し、同じ人物に複数回異なる推定を促し、値を平均化することで正確な推定を獲得するというのがその手法である。しかし、先行研究で提案された手法は、必ずしも簡便なものとは言いがたい。そこで本研究では、「視点の切り替え」に基づく簡便な手法を代替案として提唱する。二つの実験を通じて以下の三点が明らかになった。まず、本研究の手法は、先行研究の手法以上に正確な推定を生むものであった。次に、より重要な点として、先行研究の手法を与えた群に比べ、本研究の手法を実施した群では、参加者はより素早く推定を行ったことから、認知的に容易なものであることが示唆された。さらに、本研究の手法は、推定に対する自信がもたらす悪影響を軽減するものであることが分かった。以上から、本研究の手法は、効率的かつ効果的に個人内で集合知を生み出す手法であることが示された。