著者
縄手 雅彦 佐藤 基次 森本 大資 藤川 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.763-770, 2007-03-01
被引用文献数
5 3

上肢の機能に障害がありキーボードを使用して文字入力できない人のためのソフトウエアキーボードに必要な機能を検討した.アテトーゼなどにより机上のマウスを操作できない場合には文字入力はハンディマウスやトラックボールマウスを用いてソフトウェアキーボードにより行われることになるが,標準のスクリーンキーボードはキーサイズが小さく使いづらいことが問題になる.そこで,日本語入力として効率の良い50音順配列をもち,カーソル移動を移動平均法により平滑化する機能を実装したキーボードを開発した.上肢の機能障害をもつ被験者2名にハンディマウス及びトラックボールマウスを用いて文字入力実験を行ってもらったところ,移動平均を用いると文字入力が改善されることが確認された.文字入力にかかる時間には大きな変化はないものの,カーソル移動において行き過ぎることが減少し,ねらったキー上でクリックしやすくなることにより文字入力が楽になったと推測される.
著者
森本 聡 田上 弘毅 藤川 浩一 縄手 雅彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.67, pp.67-72, 2008-05-22
被引用文献数
2

地域福祉サービスセンターソレイユで社会参画のためにコンピュータ操作訓練を行っている協力者4名に共通する障碍は注意障碍で,コンピュータ操作では画面を注視して画面の変化に対応して作業することに困難が予想される.そこで,我々は分割的注意に障碍がある人のためのコンピュータ操作訓練ツールを作成し訓練を行った.ポインティングデバイス訓練と注意および記憶力の検証をするため4×4マスに配置された1から16の数字と,画面全体にばらばらに配置された1から24までの数字を昇順にクリックするTrail-Making Test的なツールを作成し各協力者に行ってもらった.訓練を重ねることでタスク完了時間の短縮や操作エラーの減少が見られた.さらに我々は画面左右に2つの黒いボールが打ち出された際に左右にある黒いバーで跳ね返すツールを使用して各協力者に訓練を行った.各協力者はこのツールを使用し訓練を重ねることでボールを跳ね返す成功回数が上昇した.今後,分割的注意の障碍のために操作に困難が見られた階層メニュー操作や文字入力修正など画面の変化に注意を向けることの必要は操作の向上改善具合をみることで,訓練の有効性を検討する必要がある.