著者
藤本 泰毅 西田 康太郎 東 千夏 比嘉 浩太郎 翁長 正道 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.864-866, 2020

<p>両側同時TKAは1回の入院・麻酔,医療コストの削減といった長所がある一方で,手術時間の延長,合併症の報告がある.当科における両側同時TKAの臨床成績を報告する.対象は2011年1月から2018年6月までに両側同時TKAを行った9例(男性4例,女性5例),原疾患は変形性膝関節症4例,関節リウマチ4例,特発性骨壊死1例,手術時年齢は63歳だった.調査項目は,平均手術時間,平均入院日数,術前後のJOA score,大腿骨脛骨角,膝関節ROM,術後の合併症とした.手術時間は平均251分,入院日数は34.6日だった.術前後でJOA scoreは43点が77点に,FTAは184°が177°に,ROMは伸展/屈曲-17°/102°が-2°/108°に改善した.術後の合併症は,表層感染1例,深部静脈血栓症2例,術後貧血1例等6例に認めた.両側同時TKAを安全に行うには年齢や合併症などを考慮しなくてはならない.</p>
著者
島袋 全志 玉城 一 伊波 優輝 藤本 泰毅 仲宗根 哲 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.329-332, 2020

<p>髄内釘ASULOCK<sup>®</sup>は,ラグスクリューに加えて3本のピンやスクリューを近位骨片に挿入でき,近位骨片を強固に固定できる.今回,大腿骨転子部骨折に対してASULOCK<sup>®</sup>を用いた手術成績を検討した.対象は24例で男性5例,女性19例,平均年齢83歳(64~99歳),平均観察期間は24週(4~49週)であった.中野3D-CT分類TypeⅠの2-partAは4例,3-partAは5例,3-partBは3例,4-partは9例で,TypeⅡ は3例であった.手術時間は平均102分(61~134分),術後単純レントゲン像の正面像では外方型はなかったが,側面像で髄内型を3例に認めた.スライディング量は平均2.7 mm(0~12 mm)であった.遷延癒合を6例,ピンのカットアウトを1例に認めた.ASULOCK<sup>®</sup>使用例では,整復良好例でも合併症が多く,十分な整復による良好な骨性コンタクトが重要であると考えた.</p>
著者
藤本 泰毅 島袋 孝尚 山川 慶 金城 英雄 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.195-199, 2020

<p>【要旨】症例は39歳,女性.1年9ヵ月前より両下肢しびれ,2ヵ月前より右下肢筋力低下が出現し,他院を受診した.MRIにて胸椎硬膜内髄外腫瘍を指摘され当科へ紹介された.両鼠径部以下のしびれ・感覚鈍麻,右下肢腸腰筋以下にMMT3の筋力低下を認めた.MRIでT10/11高位に右腹側にT1・T2で等信号,ほぼ均一に造影される硬膜内髄外腫瘍があり,さらにその左背側には信号強度の異なる腫瘍を認め,脊髄は強く圧排されていた.手術はT10・11還納式椎弓形成を用いて腫瘍摘出術を施行した.術中迅速病理では右腹側は髄膜腫,左背側は神経鞘腫であった.肉眼的に腫瘍を全摘後,硬膜焼灼処置を行った.永久病理結果も術中迅速病理と同様であった.術後3ヵ月のMRIでは腫瘍再発を認めず,術後1年の現在は両下肢しびれ軽減し,下肢筋力も正常である.</p>