著者
島袋 全志 新垣 和伸 東江 拓海 川越 得弘 渡慶次 学 上原 史成 比嘉 浩太郎 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.663-665, 2021

<p>【はじめに】当院では早期荷重歩行の実現を目指し,DLO施行時に大腿骨anterior flangeに前方からCCS固定を追加している.【対象および方法】対象は,2018年11月から2019年11月にDLOを施行し半年以上観察可能であった22例(男性15膝,女性7膝).平均年齢は67才(48~78才).観察期間は平均44週(25~75週).後療法は裴らの平行棒内プロトコールに準じて術後3日目より痛みに応じて荷重を開始した.評価項目は,術後3日目,1ヵ月毎のCTにて大腿骨側の骨癒合時期とヒンジ骨折の有無とした.【結果】平均19週(8~37週)で全例骨癒合した.術中ヒンジ骨折は認めなかったが,術後2ヵ月でヒンジ骨折を2例に認め,どちらも転位せずに骨癒合した.【結論】CCS固定は簡便であり,早期荷重の一助となり,ヒンジ骨折に対しても効果があると思われた.</p>
著者
翁長 正道 仲宗根 哲 石原 昌人 平良 啓之 比嘉 浩太郎 上原 史成 当真 孝 東 千夏 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.38-41, 2021

<p>【症例】54歳女性.ステロイド関連の両大腿骨頭壊死症に対し前方アプローチで左人工股関節全置換術(THA)を行った.自宅退院後2日目,自宅のトイレに座っている際に左股関節痛が出現し,歩行不能となり救急外来を受診した.単純X線像で前方脱臼を認め,全身麻酔下に整復した.整復後3日目に院内のトイレで再脱臼し,再整復を行った.座位の骨盤側面単純X線像で深く座ると骨盤は23°後傾,浅く座ると骨盤はさらに39°後傾していた.再整復後は股関節可動制限装具を装着し,脱臼なく経過している.【考察】THA後に座位姿勢で前方に脱臼することは稀である.しかし,立位から座位で骨盤の後傾が大きくなる症例では,座位でカップの前方開角が増大し,前方脱臼のリスクがある.本症例は座位姿勢で骨盤が後傾し,カップの前方開角増大のため前方脱臼したと考えられた.</p>
著者
水田 康平 比嘉 浩太郎 西田 康太郎 高江洲 美香 宮田 佳英 仲宗根 哲 石原 昌人 翁長 正道 平良 啓之 東 千夏 上原 史成
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.54-57, 2021

<p>51歳男性.6年前に自己免疫性下垂体炎でステロイドパルス治療を受けた.その後,ステロイド補充療法をしていた.3年前に両股関節痛が出現し,MRIで両側大腿骨頭壊死症と診断し,人工股関節置換術を予定した.3週間前より間欠的に発熱を認め,両股関節痛が増悪し,近医より当院紹介され,精査目的に入院した.採血ではCRPは10.3mg/dlと炎症反応が高値であった.CTで股関節に液貯留を認め,化膿性股関節炎が疑われた.股関節穿刺で細菌培養が陰性であり,内科にてステロイド減量中であったため,副腎不全が疑われ,ステロイド内服増量を行った.その後,発熱や炎症反応は改善した.ステロイド内服を継続し,5か月後に人工股関節置換術を行った,術後半年,発熱や人工関節の緩みなく,独歩可能で仕事にも復帰し経過良好である,本症例では,発熱や炎症反応高値,股関節痛,関節液貯留を認め,化膿性股関節炎との鑑別に股関節穿刺が有用であった.</p>
著者
橋本 雄太 西田 康太郎 石原 昌人 仲宗根 哲 翁長 正道 平良 啓之 東 千夏 当真 孝 上原 史成 比嘉 浩太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.30-33, 2021

<p>31歳女性.コラーゲンタイプ2異常症による骨系統疾患あり.5年前より股関節痛認め,3年前に歩行困難となり,他院より紹介された.身長124cm,34kgと低身長で著明な可動域制限を認めた.単純レントゲンでは,両股関節とも関節裂隙は消失していた.CTでは,寛骨臼の低形成および大腿骨は短く,髄腔は扁平化していた.変形性股関節症の診断で右人工股関節置換術(THA)を行った.手術は側臥位後方アプローチで行った.Zimmer trabecular metal cup 38mmにオフセットライナーを用いて28mm骨頭を使用した.大腿骨はWagnar coneステムを用いた.術翌日よりリハビリテーションで歩行訓練を行った.術後1週目にステムの沈下を認めたが,進行はなかった.術後半年で左THAを行った.現在,術後2年経過し,カップやステムの緩みなく経過良好である.骨系統疾患に対するセメントレスTHAの際には,適切なインプラント選択には注意が必要であると思われた.</p>
著者
藤本 泰毅 西田 康太郎 東 千夏 比嘉 浩太郎 翁長 正道 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.864-866, 2020

<p>両側同時TKAは1回の入院・麻酔,医療コストの削減といった長所がある一方で,手術時間の延長,合併症の報告がある.当科における両側同時TKAの臨床成績を報告する.対象は2011年1月から2018年6月までに両側同時TKAを行った9例(男性4例,女性5例),原疾患は変形性膝関節症4例,関節リウマチ4例,特発性骨壊死1例,手術時年齢は63歳だった.調査項目は,平均手術時間,平均入院日数,術前後のJOA score,大腿骨脛骨角,膝関節ROM,術後の合併症とした.手術時間は平均251分,入院日数は34.6日だった.術前後でJOA scoreは43点が77点に,FTAは184°が177°に,ROMは伸展/屈曲-17°/102°が-2°/108°に改善した.術後の合併症は,表層感染1例,深部静脈血栓症2例,術後貧血1例等6例に認めた.両側同時TKAを安全に行うには年齢や合併症などを考慮しなくてはならない.</p>
著者
伊波 優輝 金谷 文則 東 千夏 山中 理菜 比嘉 浩太郎 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.274-277, 2020

<p>65歳女性.3歳時に右下腿粉砕骨折を受傷(本人申告で詳細不明),12歳までに腓骨・腸骨移植を併用し数回の手術後に骨癒合した.30歳頃にvon Recklinghausen病を指摘され,53歳頃から右足関節の外反変形が増悪し装具や靴を作製したが,症状が増悪したため65歳時に当院へ紹介された.足関節の可動域は背屈/底屈:-10°/45°で,右足関節の外反動揺性が高度であったため,荷重時・歩行時に足関節内側が接地し内果後方に胼胝を形成していた.単純X線像で腓骨遠位が4 cm遺残し,外側遠位脛骨角は67°,踵骨外反は40°だった.CTで距骨下関節の関節裂隙は保たれていた.手術は全身麻酔下に外側アプローチで切除した腓骨遠位を骨移植し,距腿関節固定術を行った.術後4週免荷,その後は装具装着下に部分荷重を開始し,術後8週で全荷重を許可した.術後1年,疼痛は軽快し市販の靴を履いて独歩可能である.</p>
著者
比嘉 浩太郎 池間 康成 小浜 博太 島袋 孝尚 米田 晋 立花 真理 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.387-390, 2017

当院では前十字靭帯(以下ACL)損傷に対して解剖学的二重束再建を行っており,大腿骨孔はtranstibial法で作成している.H22年4月からH25年3月までに施行した解剖学的二重束ACL再建術を施行した16例中,術中に起きた合併症3例について報告する.症例1.大腿骨骨孔作成時にガイドピンの先端が大腿骨内で折損した.ガイドピンをハンマーで叩いて刺入したため髄内釘になってしまい,大腿骨内で折損した.症例2.術後のX線像にて大腿骨の前内側骨孔外に金属粉と思われる陰影を認めた.ガイドピンが弯曲したままドリルした事が原因と考えられた.症例3.脛骨の後外側骨孔を作成時,骨孔作成ガイドを倒しすぎたため顆間隆起を損傷した.【まとめ】解剖学的二重束ACL再建術において術中合併症を生じた3例を報告した.transtibial法で大腿骨孔を作成する場合は,ガイドピンが適切に挿入されていることと脛骨骨孔作成時は関節面の軟骨損傷を防ぐため骨孔刺入角度に注意する必要がある.