著者
原田 幸雄 今泉 誠子 田中 博 根岸 秀明 藤森 嶺 山田 昌雄 本蔵 良三 三浦 喜夫
出版者
The Phytopathological Society of Japan
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.766-768, 1992-12-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
5
被引用文献数
3 2

1989年,宮城県名取市の休耕田において,茎が橙色の斑点を示すクログワイを発見した。橙色の病斑部から病原菌が分離され,胞子の形態,培地上のコロニーの形状から,Nimbya scirpicola (Fuckel) Simmonsと同定された。本菌は分離宿主のクログワイとタマガヤツリに対してのみ病原性を示し,イネを含むいくつかの主要栽培植物に対しては病原性を示さなかった。なお,クログワイから本菌が病原菌として分離されたのは日本で最初である。
著者
加藤 由麻 妙田 貴生 藤森 嶺 戸枝 一喜 西澤 信 桜井 智野風
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.92-97, 2013-07-31

リノール酸などの不飽和脂肪酸は,必須脂肪酸として生体の恒常性維持に不可欠なばかりか,血中コレステロールの上昇抑制作用を有することが知られている。エミュー(学名:Dromaius novaehollandiae)はオーストラリア原産の大型走鳥類で,エミューの皮下脂肪から調製したエミューオイルは原住民により万能薬として用いられてきた歴史がある。エミューオイルには,オレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれており,エミューオイルの経口投与は皮膚炎や関節炎への抗炎症作用が報告されている。一方,血中脂質の抑制作用や脂質代謝の改善作用が報告されているが,詳細なデータはいまだ報告されていない。本論文では,エミューオイルの経口投与がラットの脂質代謝に及ぼす影響を分析した。エミューオイルの経口投与(1.0mg/kg/day)6週間では,体重や精巣上体脂質量に対する影響は認められなかった。しかし,精巣上部脂質から単離した脂肪細胞をイソプロテレノールで刺激して生じる脂質分解反応は,エミューオイル投与群でラード投与群や大豆油投与群に比べて亢進した。以上の結果より,エミューオイルの経口投与はラットの脂質代謝に影響を及ぼし,投与量依存的に脂肪分解反応を亢進することがわかった。エミューオイルの脂質代謝に及ぼす注目すべき影響は,機能性食品や医薬品に応用可能と考えられる。
著者
今泉 誠子 舘野 淳 藤森 嶺
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.8-17, 1997-05-30
参考文献数
26
被引用文献数
4

スズメノカタビラ用微生物除草剤であるXanthomonas campestris pv. poae (JT-P482) の防除効果を明らかにするために, 1993年より1994年に温室試験および野外ポット試験を行った。菌濃度別の処理効果を確認するために, 10^5より10^9cfu/mlの菌液を, あらかじめ滅菌ハサミで傷口を付けたスズメノカタビラに処理したところ, 処理3ヶ月後に10^8および10^9cfu/mlの濃度で約75%以上(対生重比)の防除効果が温室試験により得られた(Table 1, Fig. 1)。また野外ポット試験を用い, JT-P482の菌濃度および処理時期(12月単独処理, 4月単独処理, 12月および4月の反復処理)の変動が, スズメノカタビラの生育量, 茎数および種子生産量におよぽす影響について試験したところ, 10^8および10^9cfu/mlの濃度を12月および4月に反復処理を行った時に, スズメノカタビラの生重減少率は約67%, 茎数減少率は86%と最も高い効果を示した(Fig. 2, 3)。種子生産量への影響は、12月単独処理および4月単独処理において、菌濃度が10^8および10^9cfu/mlの場合に、77-88%と著しい減少率が認められ(4月30, 5月18日, 6月6日の3日間の収穫種子の合計の比較), 12月および4月反復処理では, 10^7cfu/mlの菌濃度の処理により85%の減少率が, また10^8および10^9cfu/mlの菌濃度により94%の減少率が得られた(Table 2)。85%以上の種子減少率を有効と仮定した場合, 12月処理の場合に10^9cfu/ml, 4月処理の場合に10^8cfu/ml以上, 12月および4月反復処理の場合に10^7cfu/ml以上の菌濃度を使用すればよいことになる。以上の結果より, Xanthomonas campestris pv. poae (JT-P482) はスズメノカタビラに対し高い防除効果を有することが明らかとなった。また、12月および4月に反復処理を行うことにより、スズメノカタビラの種子生産を大きく減少させ得ることが明らかとなった。