著者
加藤 由麻 妙田 貴生 藤森 嶺 戸枝 一喜 西澤 信 桜井 智野風
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.92-97, 2013-07-31

リノール酸などの不飽和脂肪酸は,必須脂肪酸として生体の恒常性維持に不可欠なばかりか,血中コレステロールの上昇抑制作用を有することが知られている。エミュー(学名:Dromaius novaehollandiae)はオーストラリア原産の大型走鳥類で,エミューの皮下脂肪から調製したエミューオイルは原住民により万能薬として用いられてきた歴史がある。エミューオイルには,オレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれており,エミューオイルの経口投与は皮膚炎や関節炎への抗炎症作用が報告されている。一方,血中脂質の抑制作用や脂質代謝の改善作用が報告されているが,詳細なデータはいまだ報告されていない。本論文では,エミューオイルの経口投与がラットの脂質代謝に及ぼす影響を分析した。エミューオイルの経口投与(1.0mg/kg/day)6週間では,体重や精巣上体脂質量に対する影響は認められなかった。しかし,精巣上部脂質から単離した脂肪細胞をイソプロテレノールで刺激して生じる脂質分解反応は,エミューオイル投与群でラード投与群や大豆油投与群に比べて亢進した。以上の結果より,エミューオイルの経口投与はラットの脂質代謝に影響を及ぼし,投与量依存的に脂肪分解反応を亢進することがわかった。エミューオイルの脂質代謝に及ぼす注目すべき影響は,機能性食品や医薬品に応用可能と考えられる。
著者
豊原 秀和 吉松 円 出田 まき 室井 明子 妙田 貴生 小塩 海平 菊池 文雄 藤巻 宏
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.188-194, 2002-09-01
被引用文献数
2

ダイジョ (Dioscorea alata L.) は,雌雄異株植物であるが,種子による繁殖は確認されておらず,通常は塊茎による無性増殖が行われている.それにもかかわらず,塊茎や葉の形状あるいは植物体各部の色素の発現などに多様な変異が観察され,染色体数についても3倍体(2n=30)から8倍体(2n=80)までの幅広い変異が報告されている.本研究では,パプアニューギニア(PNG)より導入した地方品種12点とその他の地域から収集し東京農業大学で保存栽培されていたダイジョ品種22点を供試して,葉の形状の種内変異を解析した.分散分析および主成分分析により葉の形状の変異を解析した結果,葉の大きさや形について多様な遺伝的変異があり,一部の塊茎形状と葉形状との間に関連性があることがわかった.さらに,染色体数の調査を行い,4倍体(2n=40)ならびに8倍体(2n=80)の存在を確認し,葉ならびに気孔の大きさと倍数性との関係も一部明らかにすることができた.