- 著者
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藤野 安彦
伊藤 精亮
正井 博之
藤森 正宏
- 出版者
- 帯広畜産大学
- 雑誌
- 帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.4, pp.917-925, 1978-06-20
- 被引用文献数
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5
1.Acetobacter Mから脂質成分を抽出し,ケイ酸カラムクロマトグラフィーとケイ酸薄層クロマトグラフィーで各脂質クラスを分離した。これらを薄層クロマトグラフィー,ガスクロマトグラフィー,マススペクトロメトリーに供し,構造解析を行った。2.全脂質の構成脂肪酸は,約90%がシス-バクセン酸から成っていた。3.全脂質を薄層クロマトグラフィーに供すると,少なくとも15個のスポットが検出された。この主成分はリン脂質で,ホスファチジルコリンが最も多く,ついでホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルグリセロールであった。4.この菌体脂質の著しい特徴として,比較的多量のテルペノイドおよびアミノ脂質が検出されたほか,少量のセラミドが検出された。5.テルペノイドの主成分は,ホーパン-22-オールとC_<35>-ペンタサイクリックテルペンアルコールであった。6.アミノ脂質の主要タイプは,オルニチルタウリン脂質3-(パルミトイル)-オキシパルミトイル-オルニチル-タウリン,オルニチン脂質3-(パルミトイル)-オキシパルミトイル-オルニチンおよびリゾオルニチン脂質3-オキシパルミトイル-オルニチンであった。7.遊離セラミドは単一の分子種N-2-オキシヘキサデカノイル-スフィンガニンから成っていた。