著者
津田 新哉 藤澤 一郎 花田 薫 日高 操 肥後 健一 亀谷 満朗 都丸 敬一
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.99-103, 1994-02-25

Reverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR)法を用いてアザミウマ1頭からTSWV (O系統) S RNAの検出を試みた。精製 TSWV RNAでは予想される増幅長に一致する約800塩基対のシグナルが認められた。検出されたシグナルは, S RNAをプロープとしたサザンハイブリダイゼーションとダイデオキシ法によるDNAシークエンシングから, S RNAを鋳型にしたcDNAと同定された。ダイズウスイロアザミウマ(Thrips setosus)の若齢幼虫をダチュラ(Datura stramonium)またはピーマン(Capsicum annuum)の病葉上で2時間獲得吸汁させた後, 健全ササゲに移し, 約10日後羽化した成虫を1頭ずつ健全ピーマン幼苗で2日間接種吸汁させて伝搬の有無を調べた。次いで, 接種吸汁させた成虫1頭ずつから全RNAを抽出してRT-PCR法で検出した結果, TSWVを伝搬した雌雄すべての個体からシグナルが検出され, 伝搬しなかった個体からもまれに検出された。以上から, 本法は媒介虫(アザミウマ)からのウイルス検出に有用と思われる。